「霊障」なる言葉

12月も後半に突入。依然衰えを見せぬコロナウイルス感染症にうんざりしますが、頑張っていくしかないですね。

さて、最近知った言葉というか、一応国語辞典に載っていて驚いた言葉。「霊障(れいしょう)」なる言葉なんですけどね。「冷笑」でもなく「例証」でもありません。「霊障」。

私のよく使う国語辞典の最新版電子データで検索すると、三省堂国語辞典も三省堂新明解国語辞典も小学館精選版日本国語大辞典も、そんな言葉は掲載していないんですが、三省堂大辞林がこの「霊障」を載せています。大辞林は結構、新語採録に積極的なんですよね。

大辞林の語釈は次の通り。

【霊障】
死者の霊魂が原因とされる災いの総称。霊的障害。

この「霊障」なる語、私の大大大嫌いな「霊能力者」とやらがテレビなんかで「うむむ、これは怨霊による霊障であるぞ!このままだと貴殿は地獄に堕つること必定。いますぐ除霊して進ぜよう!くわ〜〜〜っ!」てなことをのたまうところから来ているのではないでしょうか。

こういう「霊能力者」からは、たぶん法外な「除霊」料を請求されることになると思うんですが、もし私がそういう風に言われたら、「なんで僕のかわいい霊ちゃんに嫌がらせをするの!ほら、ぼくの愛しい霊ちゃんがこんなに恐がってるのが見えないの?あなた本当に霊能力あるの?霊ちゃんが消えたらマジで損害賠償請求するからね!」と言いたいんですよね。今のところそんな機会もありませんが……。

人の不安につけ込んで詐欺的なことをする輩こそ、地獄に堕ちて欲しいですよね。来世じゃなくて現世で。


何でこんな話をし始めたかと申しますと、私が時々バイクで通る某所が「極め付きの心霊スポット」とされているらしく、その場所のことを調べてみると、高名な「霊能者」とやらが、「今まで日本国中数々の心霊スポットを巡ってきたが、とてつもない霊障が起きるここだけは二度と訪れたくない」と言っているとか。他に「ここを通ると霊障による凄まじい頭痛が必ず起きる」と言う人もいたり。

私、プチツーリングでよくその場所を通っておりまして、通る度に、道の線型もよく(バイク乗りは道の曲がり具合にうるさいのです)、最高に爽やかな場所だと思っていたのでびっくりだったんですよね。霊障どころかいつもウキウキ気分爽快になるという(笑)。

だいたい、(少ないものの)人の住んでいる土地に「霊障」のある地とレッテルを貼るなんて、すごく下品な行為だと思うんですよね。土地による差別行為だと言っても良いでしょう。真夜中に人品骨柄のよろしからぬ人間が集まって肝試しをするなんてことも実際にあるようですし。町おこしを妨害し、住民に迷惑をもたらす「心霊スポット」認定は本当に不道徳だと思います。これを「風評被害」と呼ばずしてなんと呼ぶ。

ということで、こういう語釈はどうでしょうか。

【霊障】
死者の霊魂がもたらすというありもせぬ災いの総称。詐欺的言辞を弄する自称「霊能者」が人の不安につけ込む際の語。

「霊」がいるかはともかく、死や死者ともっとナチュラルに付き合うのが、もともとの日本文化だったんじゃないかと私なんかは思いますけどね。