小型電気自動車EV(日産ニューモビリティ)試乗記 於六甲山

少し前のとある平日。珍しく午前中の時間が空いていたので、六甲山に出かけて、小型電気自動車(ニューモビリティ)のライセンス講習を受けてきました。

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六甲山の小型電気自動車事業(ウリボーライド)については、下記リンク先をご覧頂くのが手っ取り早いんですが、簡単に言えば、環境負担の軽い電気自動車を六甲山という自然の中で走らせ、環境とモビリティの両立を一般市民に考えさせる事業なのだろうと思います。

「六甲山=Mt.EV」プロジェクト

神戸新聞NEXT|社会|六甲山巡りに活用を 超小型EVのレンタル開始

報道で目にして以来、自動車オタクな息子に一度乗せて欲しいとせがまれていたんですが、何でも普通自動車とはかなりの差異があるため、ライセンス講習を受けてからでないとレンタルしてもらえないとの由。じゃあ、時間が空いたときに私一人で六甲山に出向いて講習だけを受けておき、また別の休日にでも息子を連れて行ってやろうか、というのが今回のライセンス講習会受講の目的です。

幸い天気も良かったので、単身バイクに乗って六甲山へGO! 六甲山は何度となく行っている場所なので、通い慣れた道です。会場は六甲山牧場(この牧場、以前ブログ記事にしました)。午前10時に予約しておいたので、午前8時20分に出れば余裕だな、と我が家を出たんですが、新御堂筋に上るまで30分以上を消費。平日午前ということを忘れていました。遅刻はいけない、ちょっと飛ばさねば。

国道2号線や国道43号線を通ってもいいんですが、あちらはどうもストレスが溜まる道なんですよね。新御堂筋→千里中央→宝塚→逆瀬川とつないで、六甲山東麓から山頂に上っていくのが私のセオリー。で、六甲山の東麓に着いたときには予約時刻の15分ほど前でした。間に合うかどうか微妙だなと思って山道を走っていると、よりにもよって前の自動車が事故を起こしてしまいました!何となく危うげな運転だなあ、何かライン取りがヤバいぞ、と少し車間距離を空けて見ていたら案の定、車輪を道脇の段差にガシャン。ホイールが外れて、凄い勢いで私の目の前を転がっていきました。

しばらく進んだところで車が止まったので、私も横に停車して、事故の状況を説明。ややお年を召した女性だったんですが、車のどの部分がぶつかったかも把握していらっしゃらなかったので、段差にぶつかった場所とホイールがすっ飛んで行った場所を説明。もう少し丁寧に対処するべきだったとは思うんですが、約束に遅れるので、説明もそこそこにダッシュ(笑)。

やっぱりちょっと遅刻してしまって、平謝りで会場に入ると、カップルが講習を受けていました。私も遅れて講習会に参加です。講習と言っても、教室での座学ではありません。電気自動車の特性・六甲山上で運転が許される範囲などの説明を受けた後は、実車を前に色々と説明して下さる講習で、とても分かりやすいものです。係員さんもとても親切ですしね。

ウリボーライド・予約サイト | インターネット予約サイト

さて、今回乗ったのは、日産の「ニューモビリティ」なる小型電気自動車。私は車に疎いので、前日、小学3年のオタクな息子からレクチャーされたんですが(笑)、息子曰く、「実際上はルノーが開発した製品だから、外車らしくウインカーはハンドル左にあるはず。パパは左ウインカーが嫌いだけど、我慢して乗ってきて」との由。「何を偉そうに言っているんだ」と思っていたんですが、実車を見ると、うわっ本当だ、ウインカーがハンドルの左にあります。息子もなかなか役に立つようになったと感慨無量。

日産ゼロ・エミッションサイト|日産の電気自動車|日産ニューモビリティコンセプト

さて、乗り始めてみると、普通の自動車(レシプロエンジンの自動車)とかなり趣が異なります。以下、私が思ったことを箇条書きで。

1.運転手から見てとても静か

この電気自動車、キーを差し込んでオンにしても、何も音がしません。バイク・自動車なんかだと「キュルルル…ドルルン!」という音と振動がとても楽しいんですが、そういうサインがないのでとても頼りない気分にさせられます。前面パネルに「GO」と表示されるんですが、何か家電ムード(笑)。でも、未来的な感じもしてこれはこれで良いのでしょう。

2.歩行者からしてもとても静か

これは諸刃の剣ですね。静寂な環境が守られる反面、歩行者が電気自動車に気づかず事故に遭うという可能性もあるわけです。運転手としては特に気を付けないとならない点だと思いました。歩行者に向かって自動車がクラクションを鳴らすのは、とても無礼なことだと思いますし、私自身そんなマネをしたことはないんですが、この電気自動車に関しては積極的に運転手側から音を出さないとならないでしょう。

そこは自動車会社もよく考えているようで、普通の大音量のクラクション以外に、小音量のクラクション(「ミーミー」みたいな音です)も用意されています。これならあまり失礼な感じなく使えるかと思いました。でも一応、歩行者には会釈もしようっと(小心者)。

3.車体が小さい

大きければエネルギー効率も悪いはずで、この移動手段の趣旨からすれば、小さい方が優れているということになります。私自身、大きな自動車はどうも好みではないので、このサイズはとても気に入りました。軽自動車の3分の2程度の大きさでしょうか。乗車定員2名で、しかも前後に乗車するというところがバイク的でとても新鮮です。

当日私が乗っていったバイクと並べて撮影してみました。私が足代わりにしているTrickerというこのバイク、250ccのバイクの中でも最も小振りな部類ですので、大体の大きさがお分かりいただけるかと思います。

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4.アクセルの挙動が一般的な自動車と違う

普通の自動車だと、AT・MTを問わず、アクセルを一気に踏み込むことは御法度ですが、この電気自動車に関しては、むしろ一気にアクセルを踏み込むことを教えられました。特に上り坂では、気を付けないとズルズルと後退してしまうようで、一気にアクセルを踏まねばならないとの事。飛び出すことはないようにプログラムされているようなんですが、最初は違和感を覚えるところですね。

5.全体的に家電的

電気自動車ですから当然なのかもしれませんが、シフトパドルがなく「スイッチ」になっています。前進するときは前面パネルにある「D」のスイッチをポチッ。後退するときは同じく「R」のスイッチをポチッ。何か掃除機を使っているような(笑)。あと、内装が全体的にプラスチック的です。町の電機店で販売されていてもあまり違和感はなさそう。ということで、所有する満足感というものはなさそうですが、逆に言えば、足として遠慮無く使い込めそうなムードがあります。電動アシスト自転車みたいな感じですね(なお、運転は普通自動車免許所持が前提となっていますのでご注意)。

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全体的に、とても面白い乗り物だと思いました。個人的には二輪の方が好きですが、社会全体として見たとき、こうした小型の乗り物が都市部や自然の多い場所で活用されるようになれば、非常に上品な社会になるように思います。排気ガスが出ない上に静か、あまりスピードも出せませんしね。加えて、取り回しも楽ですから、特にご高齢の方なんかにはお薦めできるビークルになっていく気がします。ただ、普通の自動車とは速度域がかなり違うので、混在する場所については、両者ともかなり気を使うべきでしょうね。

<おまけ>
帰り支度を済ませて、牛の前で記念撮影。とても牧歌的な、否、牧歌そのものの風景。エンジンをかけると、「モォ〜〜〜〜」と鳴かれました。ゴメン。

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