KAT-TUN(カトゥーン)と勝運(かつうん)

TVはほとんど見ない私ですが、ニュースは結構まめにチェックしています。もちろん、芸能ニュースもです。お昼のワイドショーって、同じ内容をこれでもかこれでもかと流していて、私にとっては、ほとんど拷問に近い番組なんですが、文章に濃縮して読めば10秒ぐらいで把握できます。

「○○さん、離婚」
「○○、逮捕」
「○○総選挙、誰々が一位」

いや、3秒でOKかもしれない(笑)。ま、世の中を知るという意味では、芸能ニュースも馬鹿にはできません。

今日の芸能ニュースを読んでいると、KAT-TUN(カトゥーン)が期間限定ながら、改名するとのこと。彼ら、ミュージカルに出演するらしいんですが、公演期間中は「勝運(かつうん)」と呼ばれるらしい。

ジャニーズの総帥、ジャニー喜多川。このおじさん、趣味と実益を兼ねているからか(?)、男性アイドルを発掘させたら右に出る者はいませんが、ドメスティックな感覚をビジネスとして展開できる稀有な才能を持っているんじゃないかと思うんですよね。

ファンではありませんから、詳しくは知りませんが、ジャニーズのタレントが提供する歌や演劇って、どれも小中学生にも分かる範囲の語彙・音楽要素・演劇要素で構成されており、しかも妙にドメスティックなムードを感じさせます。別にけなしているわけではありません。むしろ、コンテンツとしてとても上手く出来ていると感心します。

で、この「勝運」にもそれを感じるんですよね。メンバーのイニシャルをつなげるだけではなく、「かつ・うん」と読ませるこの感覚。正統的な日本語感覚です。


かちぐり」という言葉があります。 干して臼(うす)でつき、皮や渋皮を取り除いた栗のことです。縁起がよいものの代表格ですが、漢字で表記すれば「搗栗」。

「搗(トウ)」という漢字の訓読みは、「つく」「かつ」または「うつ」。「つく」「かつ」と読む場合、臼や器の中でついてこねる、という意味になります。そこから、「搗栗(かちぐり)」という表記が生まれるわけです。

当て字で「勝栗」とも表記するところから、「勝軍利」が想像され、昔から、出陣の際に用いられてきました。

ジャニー氏が、こうした知識をお持ちか否かは知りません。しかし、彼のプロデュースするコンテンツの根底には、ドメスティックな日本語感覚が、しっかりと息づいているように思います。この感覚、ジャニーズ事務所隆盛の一つの要因にあげてもいいんじゃないでしょうか。