興味深い社会の入試問題(ラ・サール中/2017年度出題)

さっきネットで見つけた面白い中学入試の問題。Twitterで話題になっているらしい。2017年度ラ・サール中の社会です。

ラサール中学社会問題
(https://pbs.twimg.com/media/C3WorNUVcAEqLGE.jpgから引用)

リンク先にあるのは、1970年代の街の風景を写した写真2枚。何の変哲もない風景です。ここからどうやって都道府県名を導き出すのか。私は少し写真を見て理解できましたが、中学入試の問題なので自慢にはなりません。ただ、これが解ける小学生はなかなか偉いと思います。知識だけでなく思考力をも問う良い問題ですね。

写真だけでも十分に解けますが(解像度が低くても解けます)、問題文も引用しておきましょう。

鴨池陸上競技場は、1970年代に開催された第27回国民体育大会の会場になったところです。下の2枚の写真は、1970年代にある都市で撮影されたものです。写真Aの数年後に写真Bが撮影されました。この都市がある都道府県名を答えなさい。ただし、鹿児島県ではありません。

皆さん、お分かりでしょうか?

少し間を空けた下の方に、解答と(私の考える)出題意図を書いておきますので、お考えになった上でご覧下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正解:沖縄県

よく見ると、写真Aの車は右側通行、写真Bの車は左側通行ですね。自動車がどちらを通行するかは国によって異なりますが(米国は右側通行・日本は左側通行)、そうしたルールが変わったのは、施政権の移転した「沖縄県」しか考えられませんよね。

私が思うに、この問題で問われているのは以下の知識でしょう。

1.太平洋戦争後、沖縄はアメリカ合衆国の統治下に置かれていた。1972年になって日本に施政権が返還された。

2.自動車が道路のどちらを通行するかは国によって異なる。日本では左側通行。欧米では右側通行となっている国も多い。

これらの事項の単純な正誤や年号を聞いてくる問題ならば、(難関校を受験する小学生には)かなり簡単な問題だと思います。しかし、これをビジュアルから読み取るとなると話は別でしょう。かなりの注意深さと(写真の)読解力が必要なはず。

私の場合はバイク乗りですので、道路の写真を見ると、ハンドルを握って風景の中に立つ感覚があるんですが、写真Aは瞬間的に「危ない!」と感じる写真です。日本の風景なのに、道路左側から自動車が来る!日常では最も避けたい場面です(笑)。

小学生の場合、まだ自動車やバイクを運転する年齢ではありませんから、そういう気づき方は難しいはずで、結局は問題文から、「1970年代のある年を境に大きく街が変わった都道府県が聞かれているんだろうな。あっ、なるほど!1972年の沖縄返還だ!」という思考のできた受験生が正解に至ったんじゃないでしょうか。

社会であれ理科であれ、難関中学校入試の「読解力重視・思考力重視」という傾向はだんだん高くなってきているように思います。個人的には良い傾向だと考えています。