要約問題が難しいのはなぜか

もう12月も間近ですね。本来は休みの日も朝から晩まで仕事をしているような始末。今日は授業もないしちょっとカフェでも行こうかな、ってやっぱりカフェでも授業準備ばっかりやってます。MotoGPも今日のヴァレンシア戦でシーズン終了。春は遠い。

ちょっと仕事関係の話に戻しましょう。

国語の入試問題で「要約問題」という類型があります。自分の文章理解度をしっかりアピールできる問題ですので、個人的には昔から大好きな問題なんですが、一般的にはなかなかの難問ということになろうかと思います。

何故と言うに、横断的・総合的な国語力が必要だからです。大まかな手順は次の通り。

1.文章をしっかり理解する。論じられている話題の関係・重要度を読み取る。

2.要求されている文字数にしても分かりやすいように再構成する。

3.再構成したものを文章化する。

要するに、読解→論理的再構成→記述というふうに、国語で求められる力の重要部分がすべて問われる訳です。したがって、受験生の持つ国語力が否応なく如実に表れてしまうわけです。それはもう見事に。書けない人はからっきし書けず、白紙答案になってしまうことが多い問題類型ですね。

確かに、中学入試ではそれほど要約問題が出るわけではありません。しかし、難関中学はそれなりに出題してきますし、出題されれば受験生間でかなり大きな点差が付いているであろうと思われます。

もちろん当塾でも入試過去問を通じて指導していますが、急にできるようになる問題ではありません。総合的な国語力が必要である以上、幼い頃からの積み重ねが必要でしょう。

ただ、悪い問題だとは全く思いません。真っ当なトレーニングが必要、かつ、ごまかしが全く効かないという意味で、むしろ良問だと思っています。

私が中学入試出題者なら、長い硬質な文章を四つぐらい読ませて、それぞれを400字ぐらいで要約せよ、なんて問題を出してみたいなと思います。受験生のもつ国語力がハッキリクッキリ出て、凄まじく点差が付くと思うんですよね。そしてその点数は、おそらく大学受験の結果もかなり占えるものになっているのではないかと思われます。

そんな中学受けたくないって?うん、私もそんな中学の入試問題を指導したくない(笑)。


さっき、ある方のTwitterで某サブスクの映画案内が引用されていました。

映画は『ボヘミアン・ラプソディ』。伝説のバンド、クイーンの歩みをドラマティックに描いた作品なんですが、私も筋金入りの音楽ファンとして映画館で見て、涙をこらえられなかった感動作です。

とりわけフロントマンであったフレディ・マーキュリーを中心に彼らの軌跡が丁寧に描かれるんですが、一般的な要約はこんな感じになるでしょう。

世界的人気ロックバンド「クイーン」のボーカルで、1991年に45歳の若さでこの世を去ったフレディ・マーキュリーを描いた伝記ドラマ。クイーンの現メンバーであるブライアン・メイとロジャー・テイラーが音楽総指揮を手がけ、劇中の楽曲には主にフレディ自身の歌声を使用。「ボヘミアン・ラプソディ」「ウィ・ウィル・ロック・ユー」といった名曲誕生の瞬間や、20世紀最大のチャリティコンサート「ライブ・エイド」での圧巻のパフォーマンスといった音楽史に残る伝説の数々を再現するとともに、華やかな活躍の裏にあった知られざるストーリーを描き出していく。

ボヘミアン・ラプソディ : 作品情報 – 映画.com より引用。

 

で、おそらくU-NEXTの紹介文。

スーパー出っ歯の持ち主だったフレディ・マーキュリー。しかし唯一無二の歌声はこの出っ歯あってこそと矯正することはなかった。

いや、それはそうなんだけどさ……(笑)。

要約問題で言えば、論じられている話題の重要度を読み損ねている状態ですね。確かに文章内に書いてある、書いてあるんだけど、なんでそこをポイントとするのか。しかも短すぎる。

実は小学生の答案を見ていると、こういう類いの答案は本当によくあります。自分で要約するのは簡単でも、それを小学生に教えるのは至難の業。どうすれば重要なポイントをしっかり読み取れるようにしてあげられるのか、どうやったら書けるようにしてあげられるのか、当方も格闘の毎日です。

映画をご存知でない方は下記予告編をどうぞ。要約問題と思って見て下さいね!

映画『ボヘミアン・ラプソディ』最新予告編が世界同時解禁! – YouTube