フレディ・マーキュリーのコール・アンド・レスポンス

ご覧になった方も多いかもしれません。昨年度公開された『ボヘミアン・ラプソディ』。私の場合、YouTubeで予告編を一目見た瞬間から、公開を今や遅しと待ち焦がれておりました。映画自体も最高で、号泣・号泣・大号泣。個人的には、今になってようやくフレディ・マーキュリーの不在にしっかり向き合えた気がします。

報道によると、『ボヘミアン・ラプソディ』、昨年度公開された映画の中で最高の興行成績を残したそうで(そして今も更新中との由)、私もびっくりです。どこにこんなに多くのクイーンファンがいたのか。いやいや、往時のクイーンを知らぬ人々にもアピールできたんでしょうね。そして、それは本当に素晴らしいことだと思います。正に “Long Live The Queen!” (女王万歳!)ですね。

ちなみに、私が一番最初に自室の壁に貼ったポスターは、「クイーン」。随分幼い頃の話ですけれど。クイーンは老若男女にお勧めできるロックバンドだと思います。

映画『ボヘミアン・ラプソディ』について、色々と書きたいことはあるんですが、熱心なファンの皆さんが本当に心のこもった感想をそこら中で書いていて、私が書いても屋上屋を架すだけかなと思います。いや、でも色々個人的な思い入れを書き残しておきたいかな、また気が向いたら書いてみます、ってどっちやねん(笑)。


さて、今日はフレディ・マーキュリーお得意の「コール・アンド・レスポンス」についての一考察だけでも。

映画の中でも印象的なシーンですが、ライブエイドでのこのシーンをご覧下さい(役者の演じる映画の方ではなく本当のライブエイドの映像です)。

Queen Live Aid 1985 – EEEEEOOOOOO

私、フレディ・マーキュリーって、全人類の中でもっとも「煽り能力」の高い人だと思っているんですが、その「煽り能力」が遺憾なく発揮されている映像なんですよね。10万人近い観客を、自分の声一つで煽る煽る。私などは観ているだけで涙が出てきそう。フレディの笑顔・ドヤ顔が本当にいい。

こうした演奏者と観客の応答パフォーマンスを「コール・アンド・レスポンス」と呼びますが、音楽研究者によると、「コール・アンド・レスポンス」の源流はアフリカらしい。とりあえずWikiPediaから引用してみるとこんな感じ。

また、コールアンドレスポンスはブラックアフリカ地域において、伝統的に集会や宗教儀式などを告知するコミュニケーション手段として普及していたことからアフリカ系アメリカ人の音楽であるゴスペル、ブルース、ジャズ、ドゥーワップや、キューバのルンバ、ソン、サンテリア音楽 やジャマイカのナイヤビンギ、メントなど黒人奴隷の子孫達の音楽で特によく聞かれる楽式である。

https://ja.wikipedia.org/wiki/コールアンドレスポンス より引用

とりわけ、ゴスペルではよく見られますよね。神を崇める歌詞が、宣教師・シンガーと聴衆(信者)の間でやりとりされ、共有される。

Example: African Origin of ‘Call & Response’

今探してみると、西アフリカの音楽でしょうか、素朴なコール・アンド・レスポンスとリトル・リチャード(アメリカ黒人,ロックのご先祖的な存在)の音楽の共通性を示す動画がありました。

フレディ・マーキュリーは、リトル・リチャードをよく聴いていたそうですし、ゴスペルも結構聴いていたのではないかと思います。クイーンの名曲”Somebody to Love” は、今聴いてみると思い切りゴスペルマナーの曲で(小さな時は気づかなかったよ)、アレサ・フランクリン(クイーン・オブ・ソウルの名で呼ばれるアメリカ黒人女性歌手,ゴスペル畑出身)に捧げる曲でもあるそうですしね。

で、ここからは私の勝手な想像。フレディ・マーキュリーは、1930年代のジャズ、とくにキャブ・キャロウェイに影響を受けたんじゃないだろうか。

キャブ・キャロウェイはこんな人。

キャブ・キャロウェイ (Cab Calloway, 1907年12月25日 – 1994年11月18日) は、アフリカ系アメリカ人のジャズ・シンガー、バンドリーダー。キャブはエネルギッシュなスキャット唱法の歌手として知られ、彼のビッグバンドは1930年代初頭から1940年代後半にかけて、アフリカ系アメリカ人のバンドとしてはアメリカ最大級の人気を博した。

https://ja.wikipedia.org/wiki/キャブ・キャロウェイ より引用

私は、一時この人の音楽にかなりはまっていたことがあります。ジャズが難解で高尚な音楽になる前のジャズ。大衆芸能らしい大らかさや猥雑さを持っていた頃のジャズ。

百聞は一見に如かず。映像を見ていただくとよくお分かりいただけるかと思いますが、この高いエンターテイナー性(どれだけ踊るんだ)、煽り力、声量、フレディと共通性があると思いませんか?

Cab Calloway – Minnie the Moocher

生前のフレディが、キャブ・キャロウェイの音楽に影響を受け、自己流にアレンジしたのが「エーオー」だった……。想像の域を出ませんが、もしそうだったとしたら、とても楽しい話だと思っています。

霊界か天界かわかりませんが、フレディとキャブの二人が意気投合してジョイント・コンサートとかやってないかな、あっちの世界に行ったらそんなコンサートが毎日観られるんじゃないかな、なんてよくわからない想像をする正月明けでございます。