国語豆知識「誤字・脱字・衍字」

誰にでも書き間違いはありますよね。当ブログも一度読み直してから記事をアップロードするようにしているんですが、それでも間違いが混入することがしばしば。気付けば(シレッと)直すようにしております。

今日は文字の間違いに関する表現をいくつかご紹介しましょう。

「誤字(ごじ)」
あやまった形・用法の文字。

よく使う熟語ですね。
例えば「宮田塾」を「官田塾」と書くがごとし。

「脱字(だつじ)」
あるべき文字が抜け落ちていること。また、その文字。

これもよく聞く言葉です。
例えば「宮田塾」を「宮塾」と書くがごとし。
「落字」「欠字」も同じ意味ですね。

脱字の対義語をご存知でしょうか。「衍字」と言います。

「衍字(えんじ)」
間違って入った不必要な文字。

これを知っているとちょっとカッコいいですよね。
例えば「宮田塾」を「宮田田塾」と書くがごとし。

「衍(エン)」は、もともと「川が広範囲に流れ続ける」という意味の文字です。「行(ぎょうがまえ)」+「氵(さんずい)」のイメージそのままですよね。そこから「満ちあふれる」イメージに繋がっていき、「余り・余分」という意味が出てくるわけです。それゆえ、「衍字(えんじ)」は余分な文字という意味になる。

厳密には「間違い」ではありませんが、「略字」も知っておきたい言葉です。

「略字(りゃくじ)」
字画の複雑な漢字を簡略な形にした文字。

例えば「醫」→「医」「學」→「学」などですね。「○○大学医学部」より「○○大學醫學部」って書いた方が賢そうに見えると思っています(笑)。

つい最近、奈良時代の木簡の複製品を見る機会がありました。位の低い役人が書いたと思しきその木簡、字の練習に使われていたようです。「誤字・脱字・衍字」を避けるべく、一生懸命頑張っていたんだなと感慨を覚えます。ただ、なんか生徒さんのノートを見ているようで、思わず赤ペンで丸を付ける衝動に駆られるという(笑)。

「謹」は線が一本足りないよ、「論」は縦線を上に出しちゃダメだよ、「課」は田と木を分けて書いてはいけないよ、などとついつい言いそうになります(奈良時代は木簡にある形で正しかったのかもしれませんけれど)。

最後に間違えやすい文字を使った四字熟語を紹介しましょう。

烏焉魯魚(うえんろぎょ)
魯魚亥豕(ろぎょがいし)
魯魚章草(ろぎょしょうそう)
魯魚帝虎(ろぎょていこ)

いずれも字形のよく似た文字を書き誤ることを示します。

「烏」と「焉」・「魯」と「魚」・「亥」と「豕」・「章」と「草」・「帝」と「虎」とは、それぞれ字形が似通っているために書き誤りやすいことに由来する、と辞書には説明されています。

でも、「帝」と「虎」って似ていないような気がしませんか?実は「虎」には「乕」という俗字がありまして、これなら似ていると言われても納得ですね。