小論文課題についての参考資料 2009/05/13-2

授業に関係する連絡掲示板としての利用です。
関係のない方はお読み飛ばし下さい。

<国際関係学部の問題:概要例>
(定義・分析)
リスク・便益という観点から食品の偽装表示について考える

食品の偽装表示とは、食品の産地や生産年月日・消費期限などを、食品生産者があえて改ざんするという行為を指す

この場合、生産者側にはどのようなリスクと便益があるだろうか

リスク
1.偽装が明るみに出ることによって社会的信頼を失う
2.信頼を失うことによって売り上げが減少し、最悪の場合、企業の倒産という事態に至ることもあり得る
3.消費者の健康被害が生じ、損害を賠償する責を負うことがある
4.特定の企業のみならず、業界・食品全体への不信を招く

便益
1.簡単に経済的な利益を得ることができる
(例:産地を偽装して高値で売る)
2.経済的な損失を最小限にとどめることができる
(例:消費期限を延ばすことによって廃棄処分を免れる)

(問題提起)
昨今、食品偽装の事例が多く報告されている

リスクに比べ便益が大きいと食品生産者が感じている
ということを物語っている

では、どのような方策を取るべきであろうか

(自説1)
まず第一に、リスク>便益という社会状況を作り出すことが重要

1.偽装を見逃さない厳しい監視の目
もちろん、食品の素人に偽装が見分けられるはずはない

行政や業界団体の厳しい監視が必要
2.偽装を厳しく処罰する社会システム

ただ、右に述べたような方策には限界あり
↓なぜなら
便益が非常に大きなものとなる場合、リスクは無視されがち
(大いに儲かるのだから偽装が露見しないようにすればよい、という考えを招きがち)
↓したがって
リスク・便益という観点には限界もある

(自説2)
そこで、リスク・便益という観点のみならず、
社会全体で生産者の倫理を高めてゆくという観点が必要
↓つまり
生活の基盤となる食を支える自負
消費者を大切にする意識
を生産者に持ってもらえるような社会を目指さねばならない

迂遠なようだが、食の安全を守るためには、結局こうした地道な作業を続ける他はない

※問題文中に「牛肉」の話が出ていたので、比較的とっつきやすそうな「食品偽装」をテーマにしてみました。具体例が思い浮かぶ方が書きやすいでしょうから、抽象的な問題になりがちな国際問題よりも、国内の事例の方がよいかと思います(国際関係の学部や学科であっても)。

※リスク・便益という観点にとどまらず、より上位の観点を示すようにしました。おそらくそちらの方が評価は高いでしょう。簡単に言えば「損か得か」という議論は底が浅くなりがちだ、ということです。他の観点としては、「消費者側の責任(深く考えず産地表示だけを見て購入を決めてしまう)」なども考えられるでしょう。時間があれば改作してみて下さい。