鳴き声からできている漢字

前回、「殺鼠剤」の話題でしたが、それに関連して。

(ねずみ)」の音読みは「ソ」または「ショ」であって、「チュウ」ではありません。そもそも「鼠」という字は象形文字です。次の写真を見て下さい。

(以下に掲載する写真は、いずれも講談社『新大字典』を撮影したものです。『新大字典』は私の最も愛する漢和辞典の一つ。なぜか現在のところ絶版。)

2016022603.jpg

字源のところ、とてもわかりやすい絵ですよね。「鼠」という文字は、ネズミの頭・歯・足・尾をかたどった絵文字であることが理解されると思います。そんなわけで「チュウ」とは読めない。

「そもそも鳴き声が音読みになるなんてありえない。『犬』の音読みが『ワン』になるじゃないか。子どもじゃあるまいし。」そうお思いかもしれません。しかし、実は鳴き声が音読みになっている動物漢字は珍しくありません。

例えば「(ねこ)」。

2016022604.jpg

音読みは「ビョウ・ミョウ」ですが、「苗(ミョウ)」の部分が音符、つまり発音を表す部分になっている形声文字です。ネコって「ミャーミャー」と鳴きますよね。昔の中国人はその鳴き声を「ミョウミョウ」と聞いたわけです。要するに「鳴き声+けものへん」で漢字になっている。

(はと)」もその一つ。

2016022605.jpg

音読みは「キュウ・ク」ですが、「九(キュウ・ク)」の部分が音符になっている形声文字です。ハトは「クークー」と鳴きますよね。昔の中国人もその鳴き声を「キュウキュウ」または「クークー」と聞いたわけです。これまた「鳴き声+鳥」からなる漢字。

読み方が覚えにくい?では、こんな四字熟語を覚えてはいかがでしょう。

猫鼠同眠」「びょうそどうみん」と読みます。猫とネズミが一緒に生活することで、上役と下役がなれあいで悪事を働くことを喩えています。

今日はこんなところだニャ。