国語豆知識 「外出」「家出」「出家」

ここしばらくは仕事で忙しく、家の外に出ることすらままならない日々が続いています。

掃除のために家の外に出ると、一面の青空。なんでこんな日に確定申告準備や領収証の整理なんてせなあかんの?大人の世界って不合理やな……。ぼくはピーターパンさ!大人にはならないのさ!と大空高く飛んでいければいいんですが、まあそんなわけにも参りません。

ちょっと家を出ることを熟語で表そうとすると、一番最初に思いつくのは「外出(がいしゅつ/そとで)」になるでしょう。

(難解な熟語は除くとして)その他にはどんな熟語があるでしょうね。思いつくのはこんなところでしょうか。案外多くはありません。

他出(たしゅつ)
他行(たぎょう/たこう)
出門(しゅつもん)
外歩(そとあるき)

小学生や日本語を学習している外国人からすると、「家出(いえで)」もいいのでは?なんて思うかもしれませんね。(漢文法からは外れますが)「家を出る」のだから、「外出」と同じ意味になる気がするのも無理はありません。

しかし、「家出」には特別な意味が含まれます。ちょっと国語辞典を見てみましょう。いずれも最新版のものからの引用です。

新明解国語辞典「(家の人に知らせず、そっと)家をぬけ出して帰らなくなること。」

三省堂国語辞典「帰らないつもりで自分の家をそっと出て、どこかへ行ってしまうこと。」

日本国語大辞典精選版「帰らないことを前提にひそかに家をぬけ出ること。」

そうですね、大人の方なら皆知っていますよね。外出は外出でも、「家に帰らない」ことが前提になる語です。「逐電(ちくでん)」です。「出奔(しゅっぽん)」です。

生徒さんに「塾に来るために家出しました」なんて言われたら、「今日のところはちょっと落ち着いて家に帰ろうか〜」といいながら、保護者様にご連絡する必要がありますよね(笑)。

じゃあ「出家(しゅっけ)」は?これまた、単なる「外出」ではありません。「家出」どころではない、さらにハードな「外出」です。

三省堂国語辞典「世俗からはなれて、僧になること。」

新明解国語辞典「俗人としての生活をやめ、仏門に入ること。」

日本国語大辞典精選版「家を出て仏門にはいること。俗世を離れ仏法修行の道にはいること。」

これは「実家から離れて縁を切る」どころの話ではありません。「俗世間・社会との交わりを一切絶つ」レベルの話です。別の語で言うなら、「遁世(とんせい)」であり、「発心(ほっしん)」であり、「得度(とくど)」であり、「入道(にゅうどう)」であり、「剃髪(ていはつ)」です。

生徒さんに「塾に来るために出家しました」なんて言われたら、なんて返せばいいんでしょうね。いや、いらぬ心配ですか(笑)。