国語豆知識「池」と「沼」の違い

「漢辞海」という三省堂の漢和辞典があります。大学入試の漢文学習に使いやすい漢和辞典の一つなんですが、とりわけ類義語の説明が秀逸で、教えられることの多い辞書です。

全訳漢辞海 第四版

先日も授業の合間に「漢辞海」を繰っていて、新たな知識を得ました。

ここで質問。皆さん、「池」と「沼」の違いってどんな点にあると思われますか?

個人的には、「沼」と言うと、水が濁っていてどろどろした感じ、「池」と言うと、水がそこまで濁ってはおらずさらさらした感じを受けます。つまり、「水の透明度と粘度」で使い分けているイメージがあります。

最近、カメラや自転車にハマっている状態を称して、「カメラ沼」「自転車沼」なんて表現を使っているのをちょくちょく見かけますが、趣味などに熱中して「抜け出せない」感覚がよく出ています。これは「沼」という語の持つ不透明で粘着度の高いイメージがなせる業だと思うんですよね。

実際、国語辞典で「池」を見てみると、こう説明されています。

川の水を引いたり雨水を集めたりして、養魚・灌漑・上水などにあてる くぼ地。〔広義では、自然に出来たものも含み、その際は沼とほとんど同義。湖よりは小さく、沼よりは水が澄んでいるものを指すことが多い〕
(新明解国語辞典第七版より引用)

透明度を中心としていますが、やはり原則として「池」「沼」の語感の違いは「水質」にあることは間違いないでしょう。(注:「水深」も基準にして説明する辞書もありました)。

で、先程の「漢辞海」の話に戻りますが、「池」という漢字の項目には次のような説明があります。

類義語【池・沼・塘】
いずれも水をたたえた池をいうが、「池」は、円形の池、「沼」は、曲がりくねった形の池、堤の意の「塘」は、中古以降、池の意味をもつようになり、方形の池を指す。
(漢辞海第四版より引用)

何と!こと漢字においては、「池」「沼」の違いは「形」にあるとは!

ちょっと図示しておきましょう。

「池」が丸形、「沼」がぐにゃぐにゃ形、「塘」が方形。

まだまだ不勉強ですね。世の中は知らない事だらけでございます。