小学生児童が漢字を覚える時のコツ

小さなお子さんをお預かりすることも多い当塾、保護者様から「小学低学年の子どもが漢字を覚える時によいやり方はないか」とのご質問をよく承ります。

正直に言えば、コツコツ地道に勉強するしかないんですが、問題はその方法ですよね。

結論から先に申し上げますと、「必ず手で書いて覚える」こと。これに尽きると思います。面倒がらずにはっきり大きな字で書く。何度も書く。できれば声に出しながら書くとなお良し。「海」と書きながら「うみ・うみ・うみ」「カイ・カイ・カイ」と唱える感じですね。

脳の構造上、色々な刺激(視覚・聴覚・触覚)を介して情報が入力される方が、記憶に残りやすいのは自明のことだと思いますが、案外バカにならないのが「触覚」だと思っています。手を動かし、紙に黒鉛をこすりつける作業は、原始的ながらも、否、原始的だからこそ記憶保持につながりやすいのではないかと思っています。

そういえば、以前にもこんな記事を書いていました。

記憶したいなら見るより書くべし

 

最近、新人タレントなんかがバラエティ番組に初めて呼ばれた際に、視聴者や出演者達に強いインパクトを与えることを、番組に「爪痕を残す」なんて表現していますよね。本来この表現は、「災害や事件によって無残な被害が残される」ことの比喩に使いますから、おかしな表現といえばおかしな表現です。しかし、この言い方は次第に広がりつつある。

それはやはり、「爪のように鋭利なものでひっかくこと」と「脳内の記憶に残ること」の間に大いに共通性があることを、人々が感じている証左だと思うんですよね。

そんな意味で、漢字学習の際には、できればタブレットなどの電子機器よりも、鉛筆・シャープペンシルと紙といった、ある程度「ひっかかり」のある筆記具を用いる方が効率的であるような気がしています。少なくとも私は見るだけよりガリガリ書いて覚えるのが好きですし、効率もはるかに高い感じがあります。

加えて、漢字って一種の「絵」ですよね。脳内で、「漢字」が「ひらがなやカタカナ」とは違う部位で処理されているというのは有名な話です。交通事故などによって脳の特定部分が欠損した際、ひらがなやカタカナが分からなくなっても漢字は分かるケースがあるらしい(逆もまた然り)。

だとすれば、なおのこと「手で書く」という作業はバカにできないと思います。こと漢字学習に関しては、「百聞は一見に如かず」ではなく、「百見は一描に如かず」なのかもしれません。