あちゃ〜、やってしまいました。
最近書いた記事「コロナ禍による塾運営者の生活の変化」なんですが、今朝までタイトルを「コロナ渦」と表記してしまっていました。今までの記事をご覧いただければお分かりの通り、「コロナ禍」であることは重々承知なんですが、寝ぼけていたのか変換ミスをそのままにしてしまっていました。塾としてはお恥ずかしいお話です。お詫びして訂正いたします。
去年の夏、某所でこんな掲示を見かけて、「おっと漢字が間違ってるぞ!」と喜んで写真を撮っていたんですが、人のことを笑えません。バカバカバカ!(笑)
お詫びといっては何ですが、よく似た漢字「渦・過・禍」について、知っておいて損はない知識を整理しておきましょう。
まず「渦」は「うず」ですね。「らせん状に巻き込む水の流れ」のことです。そこから「なかなか抜け出せない混乱状態」という意味も出てきます。
例えば、「戦禍(せんか)」は「戦争による災い」ですが、辞書には「戦渦(せんか)」という語も登録されています。「戦いによる混乱」という意味です。
そう考えると、「コロナ渦」は「コロナ感染症による混乱状態」とも考えられるから、ある意味正しいのかも……って、言い訳はやめておきましょうね。どうしても「渦」という漢字を使いたければ「コロナの渦中」とでもすべきでしょう。
次に「過」。「すぎる」という意味だけでなく、「あやまち」という意味もありますね。「過失」「過誤」なんて熟語を思いだしていただければ。
「過而不改是謂過矣(あやまちてあらためざるこれあやまちといふ)という文言は、漢文の教科書によく掲載されています。論語の一節で、「 過ちを犯しても改めない。それこそが真の過ちだ。」という意味です。本当にその通り。
私の人生経験上、賢い人ほど、あっさり間違いを認めます。「ありゃりゃごめん、僕まちがってました」みたいな感じで素直なんですよね。多分、自分に自信があるから虚勢を張らなくて済むんだろうと思います。自分もできるだけそうあろうとしていますが、なかなか。
ちょっとマイナーな四字熟語もご紹介しましょう。
「過庭之訓(くわていのをしへ)(かていのおしえ)」とは、「父の教え・家庭の教え」のこと。息子が家の庭を通り過ぎたとき、孔子先生が「礼は大事だぞ、詩は大事だぞ」と教え諭したことから来ている言葉です。
そこから「庭訓(ていきん)」という言葉も派生してきます。同じく「父の教え・家庭の教え」のことです。今回の記事にはあまり関係のない言葉ですが。
次に「禍」。これは「わざわい」や「よこしまなこと」を表す漢字です。大学受験生レベルなら押さえておいてもらいたい表現が多くあります。
「舌禍(ぜっか)」自分が言ったことばで受ける災い。
「筆禍(ひっか)」自分の著作によって受ける災い。
「輪禍(りんか)」自動車などにひかれたりはねられたりする災い。
「水禍(すいか)」水による災い。具体的には洪水にあうこと・溺死することです。
それから「黄禍(こうか)」なんて言葉も知っておくといいですね。日本国語大辞典にはこうあります。
こうか【黄禍】
〘名〙
1.(英yellow peril の訳語) 黄色人種の勢いが盛んになって、他人種、特に白色人種に及ぼすという災禍のこと。バクーニンがはじめて説き、日清戦争後ドイツ皇帝ウィルヘルム二世によって世に広められた考え方。黄人禍。
*黄禍論梗概(1904)〈森鴎外〉
「白眼もて黄人を視る。乃ち新語を造り出して黄禍と云ふ」
2.列車の便所から沿線にばらまかれたものなど、人糞によっておこる迷惑をいう俗語。
人種差別的な語ですが、日本国民に降りかかった話ですし、覚えておいても損はないと思います。鴎外の上記著作が気になって、今検索して前書きを読んでみましたが、なかなか面白そうな著作です。白人がアジアで行っている非道な振る舞いを取り上げ、「白禍」と称しています。もちろん彼は陸軍軍医でもありますから、そうした観点から読まねばなりませんが。暇なときに読んでみようと思います。森林太郎「黄禍論梗概」(明治37年)へのリンクは下記。
黄禍論梗概 – 国立国会図書館デジタルコレクション
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/798459
それから「人糞被害」なんて意味もあったんだ……。今知りましたよ。あんまり使う機会はなさそうだけど。
最後はことわざ。「禍福は糾える縄の如し(かふくはあざなえるなわのごとし)」
「災いと幸福とは、縄をより合わせたように入れかわるものだ」ということですね。
誰ですか、「コロナ鍋」なんて書いている人は?さすがにそれはヤバすぎる(笑)。クラスター発生は御免蒙りたいですね。