小学低学年の指導 – 少しだけ補助するケース

完全少人数制宮田塾の方で、小学低学年の子達を教えているときによくある話。

例えば、こんな問題に取り組んでもらっているとします。

5人に3本ずつえんぴつをわたすと2本のこりました。
えんぴつはぜんぶで何本ありましたか?

(しばし悩んでから)「先生、わかりません。」

「○○君、これ、なに算を使ったらいいと思う?」

「……」

「5人に3本ずつ渡してるね。3本が5個あるということだから……」

(途中で遮って)「あ!かけ算!」

「そうそう、それでいいよ。でも、三・五=十五でおわりじゃないね。わたしてもまだ2本のこっているから、もとは15本より多かったんだよ。だとしたら……」

(自信なさげに)「たし算……かな……?」

「うん、そうだね。15に2を足すということになるね。じゃあ式を書いてみようね。」

普通はそんな感じの指導になるんですが、もっと簡単な指導で済むこともあります。

(しばし悩んでから)「先生、わかりません。」

「そしたら、○○君、先生が読んでみるよ。

5人に3本ずつえんぴつをわたすと

 (やや間を置く)

2本のこりました。

 (やや間を置く)

えんぴつはぜんぶで何本ありましたか?』」

「あ!分かった!」(そして式も答えも正解する。)

いや、何にも教えてないねんけど。読んだだけやねんけど。

この場合、私たちは本当に問題文を読んでいるだけです。正直、求人欄でよく見かける表現、「誰にでもできる簡単なお仕事です」という感じですね(笑)。


いちいち読まれなくたって、書いてある事なんだからすぐ分かるだろう。そんな風に考えがちですが、それはやっぱり大人の考え。

小学低学年の子どもにとっては、「読む→考える」というプロセスが重いのか、一連の事柄が文字で示されると、前に進まないことがままあります。そんな時、指導者側が声に出して読んであげると、一気に理解が進むことがある。

こんなふうに、少しだけ補助するのがちょうど良いというケース、じつはよくあるんですよね。

何でもかんでも指導しすぎると、自力で前に進めない他力本願な子になりますし、かといって完全に放置すると、これまたやる気を失って前に進めない。場合によるところはありますが、「ちょっとだけ」補助してあげると、自分で前に進んでいくことが多い。

まあ、教えるほうも何か笑えてしまうんですけどね。「何にも教えてないねんけどな〜。もう少し、教えさせてくれへんかな〜」みたいな。

おチビさんの間に、(善かれと思って)手取り足取り何でもかんでも教え込みすぎると、後々苦労することになります。私たちとしては、その子その子に応じた「適度な」指導を行うことが、重要なポイントだと考えています。