最近の読書 – 前野ウルド浩太 本川達雄 西原理恵子 ぢゅん子 灰原薬 三宅乱丈

もう今年も半分近くが過ぎてしまいました。毎日毎日忙しく、来年こそは少し仕事を減らそうといつも思うんですが、結局は毎年毎年同じ事を繰り返しています。進歩がないというか何というか。来年こそは少し授業数を減らしたいんですが、どうなることやら。

さてさて、最近読んだ本の話。注文した書籍がやってきた際に写真を撮っておいたんですが、それをアップロードしたのも1週間前。すぐに記事を書く予定だったのに、なかなか自由な時間が取れないんですよね。大したこと無いブログ記事を書くにも一苦労です。

かなり柔らかめなチョイスの書籍ですが、とても楽しめました(これから読む本もいくつかありますが)。この他、真木悠介(見田宗介)の社会学の書籍も購入。もっと本を読む時間が欲しい……。

三宅乱丈『イムリ』は長篇のSFコミック。2つの星に住む3民族の葛藤を描きます。この民族闘争は、地球上にある国家間・民族間の隷属関係・闘争の比喩でしょうが、そう思って読むと味わいが増します。ずいぶん前から追いかけているストーリーですが、そろそろエンディングに向かって突き進んでいきそうなムードが出てきました。

灰原薬『応天の門』は平安京を舞台とするクライム・サスペンス(と帯には紹介されている)。個人的には、主人公の菅原道真のキャラが好きなんですよね。道真はとても頭の良い青年で、それゆえに政治やドロドロの人間模様とは距離を置いているんですが、在原業平がいつも難題を持ち込んできて……という筋立て。個人的見解ですが、政治ってあまり頭のいい人には向いていないと思うんですよね。ある程度鈍い人の方が向いている。といってあんまり馬鹿な人も困るんですけどね。政治の本質は平安の世も平成の世も変わらない。

ぢゅん子『私がモテてどうすんだ』はお薦めの少女漫画。2巻目まで出たあたりで私が見つけてきて、妻と二人してハマった漫画なんですが、もう12巻ですかい。あまり見目美しからざる女子高生が、あることをきっかけに一気に美少女に変身!イケメン同級生や後輩・先輩に告白されて……という、ある意味ご都合主義的なシンデレラ・ストーリーではあるんですが、どうしてどうして、読ませるストーリーなんですよ。

この漫画のことは、国語・小説の心理読解問題に絡めて書こうと思っているんですが、これまたなかなか時間が取れません。妻とは、主人公の花依ちゃんに合う男子は誰かという話をよくするんですが(結構真剣に議論している(笑))、父・母の違いはあれ、二人とも親という観点から見てしまうんですよね。子どもを持つと、男女関係に対する視座も変わってきます。

<関連記事>

小説の読解力を高めたいなら「少女漫画」を

「少女漫画」で読解力を高めて医学部へ行くという話

前野ウルド浩太『バッタを倒しにアフリカへ』。Amazonで見かけて衝動買い。理系の博士号を取った人がどんな風にしてアカデミック・ポストを手に入れるのかということに興味があるんですよね。一種の就職記でもあるという帯文句に釣られました。

表紙のバッタのコスプレをしている人は、著者の前野氏。どんだけ身体張ってるんですか。笑える一方で、なにか尊敬の念も覚えます。パラパラとページをめくっていて、京大の研究ポストを手にする際の面接シーンを見つけました。無収入のポスドクに京大の松本総長が言います。「苛酷な環境で生活し、研究するのは本当に困難なことだと思います。私は一人の人間として、あなたに感謝します。」研究者や大学のリーダーとしてではなく、一人の人間としての感謝。そのスケールの大きい感謝に胸を打たれた筆者は、面接中にも関わらず泣きそうになります。人間って結局は、損得勘定じゃなくてそういう部分で動き動かされるものだと思う。

本川達雄『ウニはすごいバッタもすごい デザインの生物学』については、バッタ繋がりで。取り扱われている内容自体がとても面白いんですが、本川達雄氏が書き、福岡伸一氏が大推薦となれば、仕事上も読んでおかなくてはなりません。入試国語に詳しい方なら、お分かりですよね。生徒さんは心配ご無用。大事な部分については、授業内でちゃんと紹介する予定です。

西原理恵子『女の子が生きていくときに、覚えていてほしいこと』。私には女の子はいませんが、何となく面白そうだったので。帯の惹句がいいんですよ。「王子様を待たないで。お寿司も指輪も自分で買おう。」そうそう、王子様に指輪を買ってもらう時代なんてもう終わりを告げました。高いお寿司を奢ってくれる王子様を待つなんて古臭い考えは若い女の子には似合わない。もっと柔軟に強く生きて欲しいという筆者のメッセージには大いに共感を覚えました。

この本、到着直後に妻が読み、同日の食事中に私が30分ほどで読み終えたので、即座にAmazonマーケットプレイス上で販売。発売されたばかりのベストセラーですので、数十分で買い手が付いて、翌日早朝には発送しました。私達売り手は購入価格の7〜8割程度の金銭を回収し、買い手はほとんど新品の書籍を安く入手するわけで、このシステム、めちゃくちゃ合理的なんですよね(筆者や出版社には申し訳ないけれど)。ある意味、現代の貸本屋システムだと思います。文章を読むのが速いと大いにメリットがあるという話。

この『女の子が生きていくときに、覚えていてほしいこと』については別の記事に書いてみるかもしれません。

<関連記事>

西原理恵子『女の子が生きていくときに、覚えていてほしいこと』

本川達雄『ウニはすごいバッタもすごい』と当塾のルール