小説の読解力を高めたいなら「少女漫画」を読むべきだという話を少し前に書いたんですが、その続き。
上記は特に「男子」に当てはまる話なんですが、少女漫画をすすんで読もうという気になる男子はあまりいないでしょう。前回の記事を書いた後で発見した文章で、私の主張を補強しておきたいと思います。
和田秀樹という方がいます。灘高から東大理3に進学した医師なんですが、どちらかというと受験エッセイスト・受験オタク(失礼)として有名な方です。彼の著した『難関大学も恐くない 受験は要領: たとえば、数学は解かずに解答を暗記せよ』という書籍にこんな部分があります。少し長いですが引用します。
少女マンガは、数少ない国語攻略の秘密兵器
(中略)
国語を勉強する難しさは、努力して暗記したことがそのまま結果として表れにくいことだ。他の科目なら、時間をかければそれなりに点数も上がってくるが、国語、とくに現代国語の場合、問題集を五冊やろうと十冊やろうと、たいして差が出ない。いくら時間をかけても点数が伸びるという保証がないのである。言い換えれば、国語はいちばんセンスがいり、レベルの高い科目なのである。
そうなんですよね。いくら真面目に問題集や参考書をやりこんだところで成績が上がるとは限らないのが国語(とくに現代文)という科目。そこをなんとかするのが宮田国語塾の存在意義です。
ただ、大学受験生の場合は、あてにならない国語を棄てて他の科目に注力するという方法もありだと思います(ちなみに、和田氏の上記書籍にも同様の内容が書かれている)。大学に入ってから苦労するかもしれませんが、それはその時に考えましょう。
なお、中学受験生の場合は、受験科目数が最大でも4つ(算国理社)、少なければ3つ(算国理)、2つ(算国)ということもあるので、国語を棄てるということは不可能です。頑張るしかない。
小説が嫌いならマンガでも構わない。一見、マンガは絵で描かれていて、映像表現のようだが実際は言語表現になっている。ただし少年マンガはよくない。「ウォー」とか「ガガー」といった非国語的なセリフが多く、どっぷりつかっていると読解力が低下する。そこへいくと少女マンガはけっこうためになる。セリフが長くて小説に近いし、またその少女マンガの世界を構成している言語は、かなり高度なものである。読みこんでいるうちに、自然と読み手の言語力も鍛えられてくる。灘高時代に少女マンガフリークのグループがあって、そのグループはそろって国語ができた。一人など数学は私の半分もできなかったが、国語で理3に受かってしまった。
なかなか良い具体例ですよね。少女マンガで東大医学部に行く。いいじゃないですか。
医師になる人は頭脳明晰であってほしいと思いますが、それは最低限の条件。特に臨床に携わる人は、頭脳に加えて高いコミュニケーション能力も必須であろうと思います。患者さんは弱った身体、不安定な精神状態で医師のもとを訪れることが多いはずで、医師側にコミュニケーション力なくして、十全な治療を施すことは難しいのではないか。
一度、腰を痛めたことがあって某医院に行ったことがあるんですが、高圧的な医師の態度にキレて言い合いになったことが……。だってこちらの話を全然聞いてくれないんですよ。患者とコミュニケーションを取ろうという意識ゼロ。注射を打ってやるからとっとと金を払って帰れ式です。
いや、それはどうでもいい話でした(笑)。話を戻しましょう。コミュニケーション能力というのは、要するに国語力です。相手の言わんとすることを理解して(読解力)、自分の意見を冷静に相手に伝える(表現力)。そうであるとすれば、国語力の高い医師というのは有能な医師なのではないか。
ということで、少女マンガ好きな男性医師は有能な医師だということが証明されました。いや、されてないか(笑)。
ちなみに、私も小さな頃から国語で悩んだことはありませんが、少女マンガ大好き少年でした。今でも大好きなんですが、それはここだけのヒ・ミ・ツ。
具体的な作品も紹介しようと思うんですが、今日はここまで。