ちょっとブログ記事を書く暇ができたので更新します。
某有名中高一貫校に通う元生徒から質問を受けました。「読書感想文用の本として何がお薦めか」という質問です。うん、いかにも夏の中学生らしくていいですね。
ただ、答えるのは結構難しい質問です。書籍は星の数ほどありますし、宿題として考えた場合、学校の先生が何を求めているかを押さえておく必要もありますからね。
ここではそういった諸事情を無視して、私自身の考えを記しておきます。
ズバリ「文豪もの」はいかがでしょうか。森鴎外、夏目漱石、志賀直哉、川端康成といった文豪の手になる作品群です。もちろん、中学一年生にはちょっと(orかなり)厳しい文章もありますが、大まかなラインを掴むというレベルに限れば、きっと大丈夫。特に進学校の生徒であれば、理解する素地は十分あると思います。
いずれは読まねばならなくなる可能性が高い作品群ですし、時間的な余裕のある今のうちに読んでおくのは、決して無駄にはならないでしょう。国語の学習という意味においても、人生の勉強という意味においても。あと、少し打算的ですが、先生のウケもよいのではないか(笑)。
では具体的には、どんな作家の作品を読めばいいのでしょうか?
私の一押しは「菊池寛(きくちかん)」と「芥川龍之介(あくたがわりゅうのすけ)」です。
菊池寛の作品は、人物造型がしっかりしており、高いストーリー性を持っています。簡単に言えば、メリハリがあるわけです。こうした文章・小説は、読んでいてあまり苦になりませんし、読書感想文を書くのに適しています。短編も多いですから、読書感想文を手早く終わらせたい向きにピッタリかもしれません(笑)。
菊池寛は、ナルシシスティック(自己陶酔的)な文学が大嫌いだったであろうと思うんですが、そういう意味で、太宰治ファン・三島由紀夫ファンの国語の先生にはウケが悪いかもしれません。ご注意を。
さて、次の芥川龍之介。彼は紛う方なき天才です。文章のキレがあまりに鋭くて、クラクラ目まいがしそうな程。こんな人の文章を真似よう・勉強しようとしてもあまり意味はありません。ただただ、素直に文章とストーリーを楽しめば良いであろうと思います。
あまりに定番的かもしれませんが、『今昔物語集』や『宇治拾遺物語』に題材を取った作品、具体的には『羅生門』『鼻』『芋粥』『地獄変』などいかがでしょうか。芥川の場合も、菊池寛と同じく短編が多いことを付け加えておきましょう。
ストーリー性が高い(作品にメリハリがある)文豪としては、「谷崎潤一郎(たにざきじゅんいちろう)」もあげられますが、中学生にはちょっとマニアックすぎるかと思います。あまり読書感想文向きではないでしょうね。
なお、「菊池寛」と「芥川龍之介」については、青空文庫でかなりの作品に触れることが出来ます。下記リンクよりどうぞ。
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