グローバルリーダーズハイスクール(進学指導特色校) in 大阪

以前から何度かこのブログにも書いておりますが、来年度(2011年)から、大阪府立高校に進学指導特色校制度が採用されます。

具体的には、かつての9学区のトップ高校(北野、茨木、大手前、四條畷、高津、天王寺、生野、三国丘、岸和田)に豊中高校をあわせた10校が、この制度の適用される高校です。

本日(2010.12.07)の報道によると、上記の制度(高校)の通称を「グローバル・リーダーズ・ハイスクール」と定めたとの由。

asahi.com(朝日新聞社):大阪エリート校は「グローバルリーダーズハイスクール」 – 社会

府知事によると、「国内の大学への進学だけが目標になっている感じがする。世界を相手にできるリーダーを育てなければ」という趣旨らしいんですが、少し大風呂敷に過ぎるのではないでしょうか。

1年半前に下記の記事を書きましたが、原則として私の考え方は変わりません。

大阪府立高校の進学特色校・文理科:国語塾・宮田塾のブログ

確かに、学区の縛りなく自由にトップ校を受験できるのはいいんですが、大阪府下から1学年で1500名~1600名程度を選ぶということを考えたとき、そう簡単に進学実績が上がるはずがありません。

冷静にこの1500名程度の集団を考えたとき、「かつての府立トップ高校の生徒の上位半分」、それ以上でもそれ以下でもない、と捉えるのが一番正確なのではないでしょうか。おそらく、数年後の進学成績もそれに類したところに落ち着くであろうと思います。

現時点では、中学入学時点で成績上位層がかなりの割合で私立学校に進学するわけで、大阪府立高校1学年から国内難関大学に1500名(のうちの多数)が合格するとは思えません。現役浪人あわせても無理でしょう。

そうした状況で、海外有名大学を視野に入れてもほとんど画餅だろうと思います。そもそも、アメリカのハーヴァードやエール、コロンビアといった一流大学は年間学費400万円程度。生活費・渡航費などを考えれば、一定以上の裕福層以外には無縁な話です。

大学院から海外に出ても遅くはないと思いますし(そちらの方が優秀層には手厚い)、高校生段階で「グローバル・リーダーズ」というのは、あまりにも大風呂敷な話だと思わずにはいられません。

報道によると、府教委は「計約2億3千万円の予算」を求めているそうなんですが、これって単純計算すると一校あたりわずか2300万円。この額で何ができるのやら……。

ここからは勝手な制度論。

(地方自治体が特別なエリート校を設けることは適切なのかという問題は別論として)本気で上記のようなエリート校を目指すならば、絞りに絞って、府内の1学年から40名~80名程度(1~2クラス程度)を選抜する方がいいんじゃないかと思います。今年まで存在した理数科(定員総計160名)をより絞り込み、文系理系両方に対応できるようなクラスにするわけです。

私が言っても、それこそ「画餅」ではありますが(笑)。

なお、「大阪府立トップ高校の上位半分」と冷静に考える限りは、悪い制度ではないと思います。私が言いたいのは、過大評価や過度な期待は避けるべきだということです。