私の住まう大阪市と米国サンフランシスコ市は「姉妹都市」らしいんですが、報道によると、今回、サンフランシスコ市が慰安婦像の寄贈を受け入れることにより、大阪市側から姉妹都市関係の解消を行うとの由。
当ブログの基本方針通り、原則として政治関係には首を突っ込みませんので、慰安婦像受贈の是非は論じません。ただ、「姉妹都市を解消すべきか否か」を論じるにあたっては、前提として「姉妹都市の実益」を考えておくことが大切なんじゃないかと思います。
姉妹都市であることによる実益が大であるならば、解消には消極的であるべきだという結論が導かれやすいでしょうし、逆に実益が小であるならば、解消に積極的であっても構わないという結論が導かれやすいでしょうしね。
そんなわけで、ちょっと調べてみたんですが、「姉妹都市であることによる実益」って、ほとんど見当たらないんですよね。大阪市民がサンフランシスコ市に渡航する際に割引があるとか、サンフランシスコ市の大学に留学すれば奨学金が出るとか、そんな実益があるなら嬉しいんですが、別に何もない。
率直に言えば、心情的な・文学的な関係という感じです。単なるシスターフッド。それなら、あんまり騒ぎたてなくてもいいんじゃないの?というのが私の感想です。姉妹都市関係を解消しても、両都市の交際断絶というわけではありませんし、そもそも、国際交流は、国や自治体だけのものじゃありません。交流を求める人は民間レベルでいくらでも交流できます。
とすれば、姉妹都市関係解消をセンセーショナルに取り上げる方が、そしてそれに乗せられる方が、為政者の思うツボにはまってしまうことになるんじゃないだろうか。
私の遠縁の親戚のおじさんが、かつて某地方自治体の首長をしていたことがあるんですが(今は隠居しています)、現役時代に「姉妹都市ってどうやって決めているの」と尋ねたことがあります。
「ん?どっかと姉妹都市になろうかな〜という感じになって、探しただけやで。」
「え?以前から両自治体の深い交流なんかがあって……とかじゃないんですか?」
「そんなもん、あれへんよ(笑)。向こうもどっかと姉妹都市になりたいな〜みたいな感じで探してて、それじゃあちょうどいいですねって、関係を取り結ぶという感じなんだわ。」
「ええ〜、そんな感じやったんや……。」
「姉妹都市になることが決まってから、自然条件が似ているところとか、産業構造の類似点とか、そういったもろもろを探すねんけどな。」
言葉は悪いですが、「出会い系サイト」で出会って、結婚式までに美しいなれ初めをなんとかでっち上げるみたいな。いや、言い過ぎか(笑)。
まあ、あんまり姉妹都市に美しい夢や過大な期待を持たないほうがいいですよという話です。