寿司店でよく見ますよね、魚偏の漢字が書かれた湯飲み。
(寿司店といっても私が行くのは専ら回転寿司ですけれど。)
子どもの頃からあの湯飲みが大好きで、友人に熱く熱く魚偏湯飲みへの想いを語っていたところ、家が寿司店を営んでいる友人がその話を聞きつけ、私に一つ湯飲みをくれたことがあります。
ひょっとして店からくすねてきた?いやいや、ちゃんと許可をもらっていたと思いますけれど、有り難く頂戴して長く愛用しておりました。
鮪(まぐろ)、鯨(くじら)、鯛(たい)、鮃(ひらめ)、こんなのは簡単ですが、鮗(このしろ)、鰰(はたはた)あたりになると、ちょっと難しいですね。
さてさて、家族で回転寿司に出かけたときの話です。
その店の湯飲みは回転寿司らしく無地のプラスチック製で、何の面白みもないんですが、その代わりに色々な魚偏の漢字が「提灯」に書かれ、店の天井からつり下げられています。
もちろん私が漢字マニアなのは家族のよく知る所ですから、質問は私に集中します。
「『鰆』ってどう読むの?」
「あれは『さわら』って読むよ。」
「じゃあ『鯡』は?」
「それは『にしん』っていう漢字。魚に非ず、って変な感じがするけどね。」
父親の威厳を示す示す(笑)。
「あっちの提灯に書いてある『鰄』ってどんな魚?」
「『かいらぎ』って読むんだけど……何でまた寿司店にそんな漢字が?」
「かいらぎ」とは、鮫皮の一種。刀の柄や鞘をくるむのに使う堅い皮です。どう考えても食べられない(笑)。
「じゃあ、あっちの『鰓』は?」
「むむむ、『えら』または『あぎと』って読むんだけど、これも食べ物じゃないよな……。」
この店の提灯、魚偏の漢字を適当に書いてあるだけのような気が……(笑)。
魚偏の漢字は、日本と中国では全然意味(指示する対象)が違っているので、ひょっとしたら、中国の方が作ったという可能性もありますけれど。
まぁ、漢字で寿司を食べる訳ではありません。美味しかったので、満足満足。