大阪市民間人校長の不祥事と吉田調書と

大阪市立小学校の民間人校長制度ですが、また不祥事が発生したとの由。11人採用して、7件目の不祥事でしたっけ?イチローも真っ青の極めて安定した不祥事発生率です(笑)。市立小学校に通う子を持つ親としては、笑い事ではないんですけれど……。

大阪市立小:公募校長、休み過ぎで更迭…4月以降勤務6日 – 毎日新聞

全国公募で民間から採用された大阪市立小学校の男性校長(51)がPTA会費を持ち出すなど、ずさんな現金管理をしたとして内部調査を受けていた問題で、市教委は20日、この校長を更迭する方針を固めた。山本晋次教育長はこの日の市議会で「校長が長期間、休んでいて、著しく校務に支障が出ている」と説明した。大阪市の民間人公募校長の更迭は2人目。
市教委によると、校長は春休みの今年3月下旬から休みがちになり、4月以降、病気などを理由に有給休暇を取り続けた。今年度になってから今月19日までの勤務すべき32日のうち、通常勤務をしたのは6日。残りは有給で休んだり、時間休を取ったりし、今年度の有給20日は既にほぼ消化したという。
(上記毎日新聞記事より引用)

いやはや、ホントに良いご身分で。

この制度の馬鹿らしさについてはこのブログでも何度か書きましたので、再言はしませんが、レベルの低い人を見事なまでにより抜いて採用するこのシステム、驚愕に値すると思います。

気がつくとこの話題、何回も書いていますね。別にこだわっているわけではないんですけれど。

大阪市の民間人校長制度

校長、学校やめるってよ

民間人校長と塾講師の不祥事など

大阪市民間人校長の不祥事再び

大阪市の民間人校長制度という「喜劇」


で、システムで思い出した話。

先日、朝日新聞が、いわゆる「吉田調書」について報じていました。福島第一原発所長で事故対応の責任者だった故吉田昌郎氏が、政府事故調査・検証委員会に求められインタビューに応じた、その聴取結果書ですね。

これには、とても興味深い話が示されていました。

福島第一の原発所員、命令違反し撤退 吉田調書で判明:朝日新聞デジタル

東日本大震災4日後の11年3月15日朝、第一原発にいた所員の9割にあたる約650人が吉田氏の待機命令に違反し、10キロ南の福島第二原発へ撤退していた。その後、放射線量は急上昇しており、事故対応が不十分になった可能性がある。東電はこの命令違反による現場離脱を3年以上伏せてきた。
(上記朝日新聞記事より引用)

この記事をお読みになってどう思われますでしょうか?

私は、所員達が逃げたことを責める気にはなれません。もちろん、不細工な振る舞いだとは思います。思いますが、命の危険がある切迫した状況下で、職務や命令にどこまで従う必要性があるのかは、(法的問題はさておき)個々人の道徳観念に大きく依拠するわけで、「自分の命>職務」と判断して行動する人がいてもおかしくないと思うんですよね。私自身も、彼らの立場に置かれていれば、待機命令に違背した可能性は高いです……。

しかし、このように極度に危険な事態が発生した場合、原子力発電所というものは、ごくごく少数の所員(危機対応要員)に、その運命が委ねられてしまうシステムである、ひいては国民の生命や身体の安全までもが委ねられてしまうシステムである、ということは知っておくべきことだと思います。原発再稼働・推進に賛成するにせよ、反対するにせよ、上記の事実が前提とならねばならないはずです。


政府は上記「吉田調書」の存在を認めていますが、全部を国民に発表するつもりは無かったようですし、これからも公表しないと明言しています(一昨日、官房長官が明言していましたね)。

ただ、今回のように、調書の内容がある程度でも報道されることは、まだ救いがあるように思います。内容がとてもリアルなので、「元気な」官僚筋あたりが漏らしたんじゃないかと想像していますが、これは真に国民が知るべき内容であり、心情的に最大限支援したいところ。

私は、大震災以前も以降も、原発の話は政治化するべきではないと思ってきましたし、今もそう考えていますが、現実はそんなに甘くありません。完全に政治問題化してしまっている原発問題、国民がとにかく最優先で真剣に考え、自分たちの手に取り戻すべき問題だと思います。

吉田調書 – 特集・連載:朝日新聞デジタル


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