大阪市の民間人校長制度

最近、公立学校の校長などを民間から公募することが増えていますよね。個人的には、馬鹿らしい制度だと鼻で笑っているんですが、あの制度って一体どんなメリットがあるのやら。

第一義的に利益を享受すべきは生徒達だと思うんですが、現場を知らない民間人が学校に入ってきても混乱を来すばかりで、生徒には何らの利益ももたらさないんじゃないでしょうか。人を教える、特に幼い子どもを教えるには、高いスキルが必要ですが、そうした教諭達をまとめる人材に教育スキルがないなんていうのは、ほとんど喜劇だと思います。

「教育の現場にも『経営』の観点を導入すべきだ」なんて古臭い考え、いまだにこの大阪では聞こえてくるんですが、一体いつの話なんでしょうか。そんな馬鹿らしい命題は遠の昔に否定され切った話で、今時だれも相手にしねーよ、と思っているんですが、意外に支持する人もいるんでしょうか。

別に、学校運営は保守的であるべし、なんて思っているわけではありません。ただ、公立の学校(特に小中学校)というのは、必要最小限の教育サービスを提供していればそれで十分だと思いますし、それだからこそ安心できるとも言えます。

それ以上のものを提供すべく一人校長が頑張っても大したことはできないでしょうし、むしろ悪い方向に行くことの方が多いのではないか。少なくとも、今の大阪のように、自治体の政治的立場に迎合するような人材ばかりを採用するシステムは、かなり危ういものがあります。

幸い、我が子の通う市立小学校は民間人校長を迎えてはいませんが、訳の分からぬ人がいきなり校長に任命された学校の保護者さんには少なからず同情します(もちろん、中にはまともな人もいるのかもしれませんが……)。

今年度の大阪市の民間人校長公募状況を見ると下記の通り。

小学校・中学校の外部(任期付)校長 募集予定人数 34名

2013.06.17時点での申込状況 小学校7名 中学校3名

大阪市 教育委員会 【報道発表資料】大阪市立小学校・中学校・高等学校任期付校長公募の中間申込み状況について から引用

6/24が締切なので、応募者はもう少し増えるのかもしれませんが、これ、入試の世界で言えば、定員割れの全入状態ですよね。こういう状況で入ってくる人材が、「校長センセ」になってしまうことを大阪市民は憂うべきだと思います。


昔、私の出身高校に、民間人校長が登用されたことがありました。日本でも一番早いぐらいのケースだったように記憶しています。

登用された方は、OBならともかく、何の縁もない民間企業S金属出身の方で、先述の「学校にも経営の観点を!」なんて主張をしていました。リベラルな校風の母校とは水と油だな、数年で放り出されるのが落ちだろうなというのが、当時の私や友人たちの見方。大企業経営経験者ならともかく、なんで中間管理職に大所高所の経営が分かるのさ(笑)。

案の定、数年で放り出されたんですが、パワハラなどで教諭達と法廷闘争を繰り広げるまでに事態は悪化。大阪弁護士会から勧告まで出されたりして、何度もマスコミ沙汰になっていました。肝心の生徒はほったらかしで、何のメリットがあったのか今以て分かりません。

ちなみにこの方、現在は私立中学高校の校長をなさっているようですが、昨年は、推薦入学を巡る虚偽説明や大学合格人数の水増し発表のニュースで話題になっていました。お元気そうでなりよりです(笑)。

民間人校長制度、任用される人の収入安定や、時の政治家の人気取り以外に何のメリットがあるのか、私にはよく分かりません。ご存知の方がいらっしゃったら、真剣に教えて欲しいと思っています。