お薦めの作家(明治期-大正期-昭和初期) #2

前々回の続きです。

私がお薦めする明治期~大正期~昭和初期の作家ベスト3です。
(クリックするとwikipediaを参照できます。)

1.幸田露伴
2.志賀直哉
3.岡本綺堂

露伴は最高です。文章に滋味があふれかえっています。ガッチリした文体は彼の頑固さを感じさせるんですが、どこか優しい人間味も感じさせる。『五重塔』のような若い頃の作品から、既に完成されています。

志賀直哉は言うまでもないでしょう。人呼んで小説の神様。『暗夜行路』が代表作とされていますが、これから入らない方がいい。『暗夜行路』は志賀直哉上級編。ここから入る人が多いために、直哉=辛気くさい作家、と偏見を抱かれているのではないでしょうか。初期の短編から入るべし。

綺堂の文章を読むと、いつも「良酒は水の如し」という表現を思い出してしまいます。酒は一滴も飲めないんですけどね(笑)。平易な文章でスルスルと身体の中に入ってきて、五臓六腑にしみわたってゆく。『半七捕物帖』が特にお薦め。娯楽小説であるのに、どこか格調が高いのは綺堂の知性の賜物でしょう。

次点として、菊池寛も挙げておきたいですね。世間一般では、文学性は高くないと思われているのかもしれませんが、ストーリーテラーとしての実力は素晴らしいと思います。そして文章の分かりやすさ。分かりやすすぎることが評価を下げているのかもしれません(妙なことですが)。

全員に共通するのは、

人生・人間を基本的に肯定している

決してエリートコースを順調に歩んできたわけではない

というところでしょうか。

上記、入試に出る作家というわけではないんですが、幅広い層にお薦めできる作家です。志賀直哉以外は青空文庫(無料)でも読めますので、時間のあるときにでもどうぞ。