森毅先生が亡くなりました。昨年、大やけどを負われたとのニュースを伺っていましたが、残念なことです。
森毅先生の著書はどれも面白く、読みやすいため、入試国語の題材としてよく取り上げられます。ちょっと変わった視点から社会を眺めるところが入試向きなのかもしれません。
森先生の著書「もうろくの詩」については、以前このブログでも取り上げましたが、今考えると遺作になってしまいました。
国語塾・宮田塾のブログ 森毅「もうろくの詩」1
国語塾・宮田塾のブログ 森毅「もうろくの詩」2
ご冥福を祈ると共に、思い出話を少し。
私が大学在学中に、森先生も教養部で教鞭をとっていらっしゃったんですが、残念ながら授業を受講したことはありません(生協の書店ではしょっちゅうお見かけしましたが……)。毎日新聞にはエピソードとして、「全員に単位はやるから授業に出てくるな」とおっしゃったという話が掲載されていましたが、私の在学時にはそれなりに単位認定は厳しくしておられたような記憶があります。
ただ、試験の採点が面倒なので、教養部の何号館か忘れましたが、屋上から答案用紙をばらまき、半径◯メートル以内に着地した答案を及第とした……という話は聞いたことがあります。それがただの伝説であったのか、真実なのかはよく分かりませんが、森先生の場合、本当にありそうな話です。採点って結構面倒な仕事ですしね。
「真剣に勉強した学生はどうなるんだよ!」とお思いかもしれませんが、まぁ、往々にして人生とはそういうもの。私も頑張った人が報われるべきだとは思いますが、頑張った人が報われるとは限らないのが人生の真理ですよね。専門課程ならいざ知らず、教養部の単位ぐらいで目くじらを立てる学生もいなかったでしょうし。多分、森先生もそうお考えだったのではないかと思います。
最後に一言。
森先生の著書には、「適当でいい」「なんとかなる」「放っておけ」といったメッセージが多く(笑)、私もそれに賛同するところ大なんですが、万人には妥当しないと思います。「なんとかなる」というのは「なんとかなる」レベルに達した人へのメッセージだと捉えるべきであって、逆に言えば、「なんとかなる」レベルに達することが強く要求されているとも読めるのではないか。最近はそう思ったりもします。
ご冥福をお祈り致します。