森毅「もうろくの詩」1

森毅先生の新しいエッセイ集「もうろくの詩」(青土社)を発見。早速読みましたが、いつ読んでも森先生のエッセイは洒脱で読む者の心をそらさない文章です。肩の力が抜けていて、数学のみならず人生の達人、という風格。

私が大学生だった頃、生協の書店で立ち読みしていらっしゃる姿をよく拝見しましたが、文章そのものの風貌。TVにもよく出ておられたので、ご存知の方も多いかもしれません。文は人なり。

高校生時代から森先生のエッセイは読んでいましたが、最近の文章、特に力が抜けてきたような(いい意味で)。

このブログに関係のありそうな所を引用してみます。

「円周率が3になる」という騒ぎがあったが、その扱い自体が、小数が分かっていないことの証明でもある。江戸時代の和算は進んでいたので、円周率も詳しく知られていたが、通常使われていたのは、√10の3.16だったという話がある。それで困るかというと、3.14でも3.15でも3.16でも、困ることはない。
信頼できる数字は2桁でよいという説があって、入試の合計点とかテレビの視聴率とか、3桁の数では3桁目はどうでもよい。

そうなんですよね。別に3.14にこだわる必要はなくて、おおまかな円周を求めるには3または3.1ぐらいでもいいと思うんですよね。直径8センチメートルの円周は24センチメートル強、と大ざっぱに理解できることが大切なのであって、小数を含めた計算練習は別途にすればいいだけの話。なぜかマスコミに「円周率3」の話はセンセーショナルに取り上げられてしまいましたが…。

で、小学校の計算練習がどうなっているかというと、

それよりも、小学校の掛け算を実用的見地から2桁×2桁のみの扱いにしたことが影響していそうだ。たしかに実用的にはそれで間に合うだろうが、掛け算のやり方の普遍性を知るには、3桁×3桁のほうがよいとも考えられる。そこまでやっておけば、7桁×8桁であろうと同じことサという気分になれる。

実際、小学算数の教科書を見てみると、大きな桁数の掛け算はのっていません。こっちの方がまずいんじゃないかと私も思います。塾の方で5桁×3桁プリント・5桁÷3桁プリントなどを作ってあるのはそんな考えからです。計算の普遍性は小学生で学ぶべき大きなポイントじゃないでしょうかね。

実際、「2桁×2桁はできるけど、3桁×2桁はできない~!」と言う小学生は多くいます。2桁×2桁には2桁×2桁独自の方法が、3桁×2桁には3桁×2桁独自の方法があると思っているようです。「どこまでも計算方法を覚えないとならないことになるじゃないか!計算方法は一般的に適用できるはず。」というのは大人の発想で、そう考えない子供は結構多いものです。どんな掛け算も同じ筆算方法でできることを示すと、「へぇ~」と感心されるわけですが、学校教育からそこを削ったのは間違いだったような気がします。(確かに教える手間の削減にはなったでしょうが…。)

続きます。