指示語問題(こそあど言葉問題)の基本

指示語(こそあど言葉)内容把握の重要性

今日は小学低学年の国語指導の話をば。指示語(こそあど言葉)の指導に関する話です。

指示語の内容を把握することは、文章読解の上で非常に大切なことです。これはどれほど力説してもしすぎることありません。時間がないのでその理由を詳細に述べることはしませんが、一言で言えば、指示語は文章の論理を進めてゆく里程標のようになっており、その内容を理解していないと文章の読みが甘くなる、否、文章が把握できなくなる、というところにあります。

なんだかちょっと難しい説明になってしまいましたね。要するに、指示語の内容を把握できていないと文章の言わんとするところが掴めなくなるよ、という話です。

だからこそ、あらゆるレベルの国語読解テストで指示語内容の説明問題が出題されるわけです。学校の復習テストでも、難関中学入試でも、果ては最難関と呼ばれる大学の入試でも頻出の問題ジャンルです。もちろん、その難度・問題レベルはそれぞれ異なりますが、解き方・考え方の根本は全く同じです。本当に「全く」同じなんです(力説)。

指示語(こそあど言葉)内容説明問題の解法

例えば「『そんなパン』とはどんなパンか、説明しなさい」という問題があったとします。

大人の方には説明するまでもないかもしれませんが、一応確認しておくとこんな手順です。

1.『そんなパン』という表現を含む文章をよく読んで、問題を設定する。

例えば、「A君はそんなパンが大好きだった」という文章だったら、「『A君の大好きだったパン』とはどんなパンなのかな、という風に問題を設定するわけです。

2.指示語より前の部分を探す。

指示語の内容は、通常、指示語よりも前にあります。これは大鉄則。例外的に後に内容が置かれていることもありますが、小学低学年の場合、そんな例外は無視しておいたほうがいいでしょう。あくまでも前を探しましょう。具体的な探し方はここでは省略。

3.探し当てた内容を指示語に代入して読んでみる。

小学生はここをおろそかにしがちなんですが、代入して読んでみて筋が通るかどうかをチェックすることはとても大切です。例えば問題になっている指示語の前にこんな文章があったとしましょう。「A君のおばあちゃんはときどきA君にパンをやいてくれた。パンやさんのパンにくらべると、ちょっとかっこうはわるかったけれど、あったかくてとてもおいしいパンだった。」

答えは、短めに書けば「おばあちゃんがときどきA君にやいてくれたパン」、長めに書けば「おばあちゃんがときどきA君にやいてくれた、ちょっとかっこうがわるかったけれど、あったかくてとてもおいしいパン」という風になります。どちらも解答としてはOK。

いずれも、「A君は『そんなパン』が大好きだった」に代入して、スムーズに意味が通りますよね。

「A君は『おばあちゃんがときどきA君にやいてくれたパン』が大好きだった。」

「A君は『おばあちゃんがときどきA君にやいてくれた、ちょっとかっこうがわるかったけれど、あったかくてとてもおいしいパン』が大好きだった。」

この一手間を小学生は本当によく省きます。省きまくる。そしてワケの分からない解答を出してくることが多い(笑)。指示語の問題は難関大入試といえども同じ構造になっていますし、そもそも文章を読む上で非常に重要な部分なので、しつこく指導します。

小学低学年用の問題を解いてみる

ここで、当塾の採用している小学低学年向き問題集から問題を引用してみましょう。

「ぼく」と「ケイちゃん」が二人で話しているシーンだとお考えください。

さっき、ケイちゃんがのぞいていた小さなまどから、日がさしこんでいる。
これ、おうちの目なんだよ。」
まどからかおをだして、ケイちゃんがいった。

問題:「これ」とは何ですか。文章中から五字でぬき出しなさい。

大人の方には簡単すぎるでしょうが、小学低学年の子にこの問題を解いてもらうと、本当にさまざまな答えが出てきます。

特に、小さな頃からスピード重視で本を読んだり問題集を解いたりするのに慣れてきた子なんかは、妙な答えを出す傾向があります。

誤答例「ケイちゃん」
ケイちゃんがおうちの目になるの?女の子がおうちの目になるって、ちょっとおかしくない?

誤答例「おうちの目」
おうちの目がおうちの目なんだよ、って意味が分からなくない?

誤答例「さしこんで」「かおをだし」
このあたりになると、もう「五字」というところだけを見て、適当に選んでいることがバレバレです……。話を盛っていると思われるかもしれませんが、この種の解答を見るのは誇張なしに毎日の話です。そんなに急がなくてもいいからゆっくり読もう。

指導している私たちが期待しているのは、次のような思考経路です(もちろんそのように指導しています)。

こそあど言葉のもんだいだな。
 ↓
「おうちの目」になりそうなものって何かな?
 ↓
そうそう、前をしらべるんだったな。
 ↓
五文字だったら「ケイちゃん」か「小さなまど」ぐらいかな。
 ↓
「『ケイちゃん』、おうちの目なんだよ。」
 ↓
う〜ん、女の子がじぶんを、おうちの目って言うかな。
 ↓
「『小さなまど』、おうちの目なんだよ。」
 ↓
あ、これだったらうまくいきそう。「まど」って、おうちにあいてる「あな」だから、かおの目にちょっとにてるし。

というわけで、正答は「小さなまど」となります。

大人からするとあまりにも常識的すぎるんですが、低学年の子どもにはまだまだ不慣れな思考経路のようで、私どもはしつこくしつこく、この指導を続けております。

ここをしっかり習得しておけば後々ずっと使えるので(本当に大学入試レベルでも基本的に解き方は同じです)、私どもも生徒さん達も頑張りどころですね。

宮田塾での指導の一コマでした。