センター試験を受験された方々、お疲れ様でした。明日からは二次に向けて頑張って下さい。
さて、中学受験国語を取り上げることが多いこのブログ、たまには大学入試センター試験の古文を取り上げてみましょう。昨日(2009.01.17)行われた国語を題材にしますね。
解説文を書いていくとキリがないので、今回は古文問題の冒頭部分を少しだけ取り上げます。
この最初の3問題、たいていの年度において、「単語を覚えさえすればOK」とは言い切れない問題になっています。つまり、単語の語義を覚えているだけではダメで、文章解釈面にも気をつかわねばならない(ことが結構ある)問題です。
実際、今年も冒頭2問は語義オンリーで大丈夫でしたが、3問目はやや文章解釈を必要とする問題でしたね。今回は知識だけで解ける2問を取り上げてみましょう。大学受験生でない方も考えてみて下さいね。
では、今年の古文1問目(解答番号21)。
「あはれ、見ばや」の解釈として適当なものを選べ。
1.いとしいなあ、会えればいいなあ
2.しみじみと心惹かれるので、会ってみようかしら
3.ああ、会いたいものだ
4.本当に、会えるかもしれない
5.かわいそうだなあ、会ってみたらどうだろうか
正解は「3」。
これは見た瞬間に正解3を選びたいところです。
「ばや」が終助詞で「希望」を表すという文法事項を押さえていれば、それだけで3を選べるところかと思います。1の文末は普通の希望表現ではないですし。
少し譲って1を残したとしても、「あはれ」の解釈が苦しいところ。「いとしい」という意味なら、「あはれなり、見ばや」というように形容動詞で表現するのが普通でしょう。「あはれ」は感動詞だと捉えるべきです。
念のため文脈を確認しておくと、(どんなに美人だろう)「ああ、会いたいものだ」となってバッチリですよね。
次に2問目(解答番号22)。
「なべてならぬ匂ひ」の解釈として適当なものを選べ。
1.並大抵でなくすばらしい色合いや香り
2.全体が一様でない色合いや香り
3.思いがけないほど洗練された香り
4.一般的ではない奇抜な色合い
5.一面に広がるほのかな香り
正解は「1」。
これも受験生なら見た瞬間に1を選んで欲しいところです。
ここで問われている知識は二つ。
<知識1>
「なべてならぬ」の意味。
並ひととおりでない。ふつうでない。
「なべて」は「並べて」と書く語ですが、この漢字から「並ひととおり・平凡」という意味を押さえておけば、「なべてならぬ」という頻出表現も頭に残りやすいかと思います。
類例として「なのめならず」も覚えておきましょう。
<知識2>
「匂ひ」の意味。
はなやかな美しさ。つやのある美しさ。
古語で「にほひ」いえば、何よりもまず「視覚的」な言葉ということを理解してもらいたいと思います。少なくとも、現在のような「嗅覚的」な意味はメインではありません。そして、美しさは美しさでも、桜がパッと咲いているような美しさですね。
したがって、「香り」しか書いていない選択肢3と5は(センター試験レベルでは)まず解答になりません。
以上、合わせて正解は「1」しかありません。
と、こんなところですが、勉強の材料としてはさらに突っ込めそうですね。古語には「美しさ」を表す語が多くあるので、そのあたりのボキャブラリーを増やしてもらうのに良い機会でしょう。
喋ると楽なんですが、文章で解説するのは大変ですね。ブログではこのあたりで切り上げておきます。