中学入試国語 敬語の問題 #3 (西大和学園中学編)

中学入試国語 敬語の問題 パート2からの続きです。

次の問題に行ってみましょう。

西大和学園中学 平成19年出題

本文に「先生がいらっしゃる」とありますが、主語は「先生」のままで異なる尊敬語を用いて、同じ意味の一文を作りなさい。

保護者の皆さんも考えてみて下さいね。
少し空白を置いておきますので、答を考えてから下の方をご覧下さい。

まず某塾作成の解答。
「先生がおこしになる。」

正解です。
ただ、もう少し深く考えてみましょう。
(またかよ、と言われそうですが(笑))。

問題の本文を見てみると、尊敬語の一例として「先生がいらっしゃる」という文章が挙げられているだけで、文脈は全く明らかではありません。つまり、先生が「いる」のか「来る」のか「行く」のかよく分からない。

言い換えれば、「いらっしゃる」という語は尊敬語で、「いる」「来る」「行く」という三つの動作を表しうるわけですが、問題文からは、そのいずれの動作を表しているのかよく分からないわけです。

とすれば、解答もその三義を含んだものにしたいところですね。

「おこしになる」だと「来る」「行く」にしか対応しませんが、「おいでになる」だと「いる」「来る」「行く」の三義に対応できます。ということで、解答としては下記が好ましいかなと思います。

「先生がおいでになる。」

まぁ、前回と同じく、中学入試レベルなので、どっちでも正解だと思いますけどね(笑)。

なお、「先生が来られる。」という解答をお考えの方もいらっしゃるかもしれませんが、解答としてはやや不適です。動詞+尊敬の助動詞(れる・られる)は、敬意の表現としてやや弱く、敬意の度合から考えて、「いらっしゃる」に対応するとは言えないからです。

授業の準備をしている際は、こんな感じであれこれと考えを廻らせているんですが、実際の授業では、上記のようなややこしいことはあまり話していません。生徒の学力を伸ばすことが最大の目的ですから、分かりやすさこそが大切。ややこしい話をして混乱させない方がよい。その分、ブログであれこれ話しているというわけであります。