ちょっと前に息子と某地方の「ブックオフ」に行ってきました。よく付き合わされるんですよね、ブックオフ。
我が息子、自動車オタクでして、古い自動車雑誌をあれこれ調べるのが大の趣味。なんでも、ブックオフにはいい自動車雑誌が大量にあることが多いそうで。ドライブに出かけた先で「お前、どっか連れてって欲しいところある?」と尋ねると、スマホの地図で検索して、「ここから2キロ先にブックオフがあるんだけど、連れてってくれたら嬉しいな」なんてのたまう。
お前、そんなの大阪でもどこでも似たようなもんだろうと言うんですが、地方地方、店舗店舗によって品揃えに特徴があるらしい。んじゃ分かったよと連れて行くには行くんですが、私は手持ち無沙汰極まりありません。
自動車雑誌コーナーの隣には、たいていバイク雑誌コーナーがあるんですが、私は古いバイクにあんまり興味がないので、古い雑誌にも食指が動きません。息子が生き生きと雑誌を漁っている間、私は生あくび(笑)。
ところが、先日寄った兵庫県北部某所のブックオフ、なかなか興味深い品揃えだったんですよね。何故かは分かりませんが、やたら古典系統の文学全集が多い。それも全品100円の投げ売り状態!
別に私は文学研究者ではありませんが、大学受験対策授業の準備資料として岩波書店、小学館、新潮社の古典文学全集にはよくお世話になっております。今回は岩波書店の日本古典文学大系(旧体系の方)の、山岸徳平『源氏物語』1〜5をゲット!やったぜ!
調べてみると1958年〜1963年の刊行ですので、私より「年上」の書なんですが、資料としては一級品です。今回入手した旧体系版は絶版だろうと思いますが、岩波書店新体系の方だと1巻あたり6000円前後したと思うので、30000円を500円でゲットしたということになります。
山岸先生が精魂込められた成果を500円で入手するのも申し訳ない!心苦しい!されど、有効活用致しますので許してたもれ、と心の中で独りごちながらレジに向かいました。
帰宅して速攻で中身を調べましたが、読まれた・利用された形跡が全くありません。今までどこかのお宅で眠り続けてたんでしょうね。供養するつもりで全冊分解し、スキャナでPDFデータにしておきました。iPhoneにもそのデータを入れておいてっと。
いつでも源氏物語が(そしてその権威ある注釈が)ポケットの中に入っていると考えるだけで超絶嬉しい!源氏物語以外にも、万葉集や古今和歌集といった重要和歌集や、著名な古典文学作品はPDF化して入れてあるんですが、これ本当に最高の気分なんですよね。古今の文学的叡知が自分の掌中にあっていつでも閲覧できるなんて!これ、現代人の特権だと思います。
岩波日本古典文学大系だとか、新潮日本古典集成だとかが全巻PDF化されて発売されたら、結構高くても買ってしまうでしょう。もちろん、全巻読めるはずもないんですが、手元にあっていつでも読める・調べられるという状況自体が、もうとにかく最高なんですよね。
購入した日本古典文学大系『源氏物語』には、発刊時の月報もしっかりと挟み込まれていまして、これもとても興味深いものでした。大いなるインスピレーションを受けた記述がいくつかありまして、それだけでも購入した甲斐、大ありでした。
というか、今回はそのことについて書こうと思っていたんですが、全然そこまで行き着きませんでしたね。時枝誠記(国語学界の超ビッグネーム)が寄稿していて、彼の物語論を開陳しているんですが、それがまたいいんですよ。その話はまた今度。
今回は、「『源氏物語』注釈書を安くで手に入れたぜ、いいだろ〜、ムフフ」という自慢話だけでしたね。ゴメン。