坂本慎太郎のソロワーク

坂本慎太郎という天才的なミュージシャンがいます。「ゆらゆら帝国」というバンドをやっていた頃からの大ファンなんですが、解散後のソロ活動も素晴らしい。

彼の音楽的なセンスが抜群なのは当然として、言葉のセンスもとてもユニークなんです。個人的な感覚ですが、音楽と言葉には密接な関係があり、そのセンスには共通するものがあると思うんですよね。

たとえば「ゆらゆら帝国」というバンド名。揺らぎを感じさせる「ゆらゆら」という言葉に、硬質な「帝国」という言葉がつなげられています。この取り合わせの妙。しかも揺らぎは「ひらがな」で、硬質性は「漢字」で表記されます。一度耳にすると忘れられないバンド名じゃないでしょうか。

ゆら帝の音楽はまた別の機会に譲るとして、坂本慎太郎のソロワークでお気に入りの曲をご紹介します(って完全に趣味の世界ですけど……)。

まともがわからない 坂本慎太郎

素晴らしいメロディライン。暑苦しくならない程度のホーン。綺麗な音のカッティングギター。そう、カーティス・メイフィールドが気に入りそうな曲(最大級の賛辞だと思って下さい)。

そこに驚くほどストレートな歌詞がのせられます。

この小さい町にも 奇跡はありえる
かなえたい夢など はたしてあったっけ
俺に

あたまいたいできごと まともがわからない
うそみたいな人たち 悪いジョークなんだろ

まともがわからない
まともがわからない
ぼくには今

作詞:坂本慎太郎

そうなんですよね。真面目な人ほど「まとも」って何なのかが分からなくなるものなのではないか。坂本氏はすごく真面目な人だと思うんですが、この歌詞は素直な心情の吐露ではなかろうか。私も一応真面目な方だと思うんですが、もうこの世の中で何が「まとも」なのかを考えるなんて諦めています(笑)。

この曲、テレビドラマのテーマになっていたらしいんですが、テレビに疎い私にはよく分かりません。ただ、坂本氏が好事家のためのアンダーグラウンドな音楽家などではなく、ポピュラリティを有する音楽家であることの証明になっているのではないでしょうか。

君はそう決めた ( You Just Decided ) / 坂本慎太郎 ( zelone records official )

シンプルなのに深みを感じさせる演奏。初めて聴いたときから、歌詞に惹かれました。

この町で生きている 宿題をしながら
そして単純なうそに ドキドキしながら
朝がきて夜がきて また朝が夜になって
また朝が来て また夜が来て朝が

恋をしたり けんかしたりしたい
今日目覚めて 君は戸をあけて
突然外に 出た

作詞:坂本慎太郎

そうそう。上手く説明出来ないんですが、私も宿題をしながら生きている感じがするんですよね。塾をやっているからかもしれませんが……。そして単純なウソに騙されたい。ドキドキしたい。下品な悪意のあるウソじゃなくて、上品な魔法のようなウソに。

このビデオも大変な秀作だと思います。一度見出すと目が離せません。絵の才能もある坂本氏が、1ヶ月だったか家に籠もりっきりになってiPadで作成したアニメなんですが、やっぱり発想が斬新。当たり前のようであって当たり前でない世界が広がります。

あなたもロボットになれる feat. かもめ児童合唱団 / 坂本慎太郎 (zelone records official)

これは坂本慎太郎ではなく児童合唱団が歌っているんですが、まぎれもなく坂本慎太郎の刻印が曲全体に打たれています。

ハワイアンのスチールギターで奏でられる明るい曲調に反して、歌詞は……。ディストピアというものは、ニコニコ明るい笑顔の人が語る方が真実味を持ちます。ご興味のある方は是非歌詞に耳を傾けてみて下さい。「日本の5割が賛成している〜」って(笑)。

真剣に音楽を突き詰めていったら、どうしようもないまでに個性が刻印されまくった音楽が現れた。坂本慎太郎氏はそんなミュージシャンだと思います。


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悲しみのない世界 / 坂本慎太郎

スーパーカルト誕生 (Birth of The Super Cult) / 坂本慎太郎 (Shintaro Sakamoto) zelone records official