ジョニ・ミッチェル・ボックス / ピリス・モーツァルト・ピアノソナタ全集

私、音楽好きをもって自任しているんですが、どうも最近CDを買うペースが落ちています。その一因として、CDが安くなりすぎていることもあるんじゃないかと思う次第。

高校生の頃なんかは、レコード&CDがもっと安かったら大量に買って毎日でも新しい音楽に触れられるのに……なんて思っていたんですが、必ずしもそうではありませんでした。

「安い→大量に買う」という風になりそうなんですが、「安い→ついつい10枚組なんかのボックスを買ってしまう→時間が無くて聴ききれない→消化不良感が出て次の作品を買うのが億劫になる」というパターンにはまってしまうんですよね。

大体、10枚組で2000円なんておかしくないですか?いや、安価に入手できるのは嬉しいんですが、行き過ぎじゃないかと。音楽(正確には音源コピー)の価値が暴落しているような気がします。カスのような作品ならともかく、アーティストが精魂傾けて作った超名作が10枚組で2000円。一枚200円って、スナック菓子じゃないんだから……。

ミュージシャンが食べていけない時代になったとよく聞きますが、一音楽ファンとして、何とかして欲しいと思うんですよね(他力本願ですが)。食べていけないと、有能な人が音楽の世界に来てくれなくなってしまう。CDも作ってくれなくなる。長い目で見ると、私のような「聴き専」にとっては、とても困った事態です。

そんなことを考えながら、先日購入したのが下記の2作品。結局、何だかんだと言いながら安価なボックス作品を買ってしまうので、私も同罪なんですが。

Joni Mitchell the Studio Albums 1968-1979
Joni Mitchell

Joni Mitchell the Studio Albums 1968-1979

ジョニ・ミッチェル (Joni Mitchell) は何となく聴く機会を逃してきてしまったアーティスト。「Blue」は以前から持っていましたが、あまり親しんでいたとは言えない作品。ボックスは2700円程度でした。

ジョニ・ミッチェルって、すごく頭のいい人だという感じがします。詩的な才能と音楽的才能に溢れていて、文学的な匂いがする女性なんですよね。絵画にも優れているので、本質的には「表現者」というべき人なのかも。私の中では、パティ・スミス(昨年のライブは心から感動しました)、ケイト・ブランシェットみたいな立ち位置。これからじっくり聴く予定。とりあえず「Court And Spark」を聴いて、その格好良さにクラクラ来ました。

Joni Mitchell – Car on a Hill


Mozart: Complete Piano Sonatas
Maria Joao Pires

Mozart: Complete Piano Sonatas

ピリス (Maria João Pires) のモーツァルトピアノソナタ全集。ピリスは、モツ(我が家ではモーツァルトをそう呼んでいます)のピアノソナタ全集を2度録音しています。1974年と1989〜1990年の2回です。私、モツはあまり好みではないんですが、7〜8年前に手に入れた1989〜1990年録音盤はなぜか異常に気に入り、聴き込みました。今iTunesで調べてみると、どのソナタも80〜100回近く聴いています。そんなわけで、モツのピアノソナタは全部弾けます。もちろん鼻歌で、ですが(笑)。

今回入手したのは、1974年盤。2000円前後で入手。実は今まさにその盤を聴きながらこの記事を書いているんですが、1989年盤と甲乙付けがたい名盤だと思います。5番は1989年盤が好みだけど、6番は1974年盤の方がいいななどと、ピアノのド素人なりに聴くのが楽しい。

個人的な意見ですが、モーツァルトには若々しい演奏が合うと思うんですよね。老成した演奏なんてモーツァルトには似合わない。モーツァルトは若死にしたわけで、若々しさが溢れるキラキラ感こそが身上ではないかと。おっさん・おばはんピアニストはどっかに失せろ、私の美々しい演奏を聴きな!みたいな演奏が丁度良いのではないかと考えるわけです。ピリスの演奏はどちらの盤もそんな感じで、私の好みにピッタリです。

Mozart – Piano Sonata No. 16 in C major (Sonata facile), K. 545 – I- Allegro (Maria Joao Pires)

リッピングした後、CD棚に収めたんですが、この一角、妙に濃い。ブログで触れた音盤が妙に集まっているんですよね。

20140623.jpg

マルタ・アルゲリッチのコレクション、ピリスのモーツァルトピアノソナタ全集(1989年盤)、アシュケナージのショパン全集、アシュケナージのラフマニノフ、パティ・スミスのアリスタ・ボックス、ピリオド楽器によるノクターン集、ブラック・キーズのエル・カミノ、ギャビー・パヒヌイ、ソウル・フラワー・ユニオン。

ラフマニノフはほとんど聴いていませんが(笑)、それ以外はかなりお気に入りの作品。アシュケナージのショパン全集以外は、全部激安だったように記憶しており、各ミュージシャンに何となく申し訳ないような気がする一角でもあります。