ドナルド・キーン先生がお亡くなりになりました。
悲しく切ない気持ちでいっぱいです。
キーン先生のことは何度かこのブログでも取り上げてきました。もちろん直接に存じ上げているわけではありません。
しかし、私にとっては、この人がこの世にいらっしゃると思うだけで、そして、日本で暮らして下さっていると思うだけで、とても心強く、嬉しくなってくる、そんな方でした。上品で、ユーモアがあって。心の底から日本文学が世界一流の文学の一つであると信じて下さって。
現皇后陛下の短歌を読んで感じる気持ち。
パティ・スミスの歌を聴いて感じる気持ち。
キーン先生のことを考える時、同じような感覚を覚えます。こんな風に世の中を見て、こんな風に歌う人がいるんだ。直接知っているわけではないけれど、この世にこの人が存在することは、明らかに世の中に大きな善をもたらしている。
皆さんもいらっしゃいませんか?そんな人が。面識があるわけではないけれど、その人がこの世にいてくれるだけで何だか頼もしい気がする人が。
こんな大碩学はもう出てこないでしょう。その退場にうなだれるしかありません。
司馬遼太郎はキーン先生を評して「なつかしい人」とおっしゃったそうです。私も本当にその言葉が似つかわしい人だったと思います。
さようなら、なつかしい人。ありがとうございました。