近畿も梅雨入りですね。うっとうしい季節です。副代表がカエルの絵を描いたのでカエルの話。
あまりに有名な句ですが、松尾芭蕉に「古池や蛙飛びこむ水の音」というのがありますよね。芭蕉の俳句は、無限にイメージが広がるものが多いんですが、この句なんかはその最たる例でしょう。
「わび・さび・禅味」を読み取るのが一般的な解釈。その解釈で私も正しいと思いますが、それは飛びこむ蛙が「一匹」の場合にだけ成り立つような気がします。飛び込んだ際の「ポチャン」という水音が静寂な空間を引き立たせるわけです。
実は、何匹の蛙を芭蕉が想定していたか(または実際に見たか)については、色々な説があります。
カエルの行動パターンとして、一個体がある動作を行うと、その動作が他の個体にも伝染していく、というのはありそうですよね。つまり複数のカエルが一斉に古池に飛び込んでいく。
屁理屈を言えば、カエルの種類だって、かわいい雨蛙もいれば、でっかいガマガエルもいるわけです。ガマガエルが複数飛び込めば、水音は「ドボンドボンドボンドボン」でしょうから、一気にダサい句に(笑)。
やっぱり解釈としては、「一匹の・小振りな・美しい緑色の」蛙を想定するのがよさそうです。
そういう意味で、ドナルド・キーン先生の英訳は素晴らしい。
The ancient pond
A frog leaps in
The sound of the water
ちなみにラフカディオ・ハーンは「frogs」と訳しています。