難関校国語科教諭の説く入試作成の狙い

連休中もやっぱり仕事と勉強ばっかりだったんですが、まあそれも一興です。

さて、中学入試の過去問がどれほど重要なのかは、このブログでも何度もお伝えしておりますが、実際に私立中学国語科の先生のお声もご紹介してみましょう。当塾が常々生徒さんや保護者様にお伝えしている考えと、100%一致しています。

以下、毎日新聞「令和のリアル 中学受験 中学受験で差がつく国語力とは 広尾学園教諭に聞く入試作成の狙い」から引用いたします。
(https://mainichi.jp/articles/20250922/k00/00m/100/216000c)

中学受験では算数と並び重要科目とされる国語。だが、学習方法は漠然としていて、悩む受験生や親も少なくない。

では、国語の入試問題は、どんな意図をもって作られているのか。

難関校として知られる広尾学園(東京都港区南麻布)で15年間教壇に立ち、入試の作成や模試、問題集の執筆にも携わる国語科部長の岸田有司教諭に聞くと、求められる力や国語を学ぶ意義が見えてきた。

(中略)

中学入試では、現場の国語科教員が協力して問題案を作り、再検討を繰り返しながら本番まで練り上げていきます。
ゆえに学校や教員の思いが必ず反映されます。
「入試は初回の学校の授業」と表現する先生もいらっしゃいますが、その通りだと思います。

各私立中学の入試国語問題に、いかによくできた問題が多いかがわかっていただけるお言葉ですね。よい入試問題は、そこらへんの模試問題なんかとは比べ物にならないぐらい学ぶところが多いんです。当塾としても教え甲斐があると申しますか。

ポイントは3つ。

1.国語科教員が協力して問題を作成していらっしゃる
単独で作るのではなく合議制で作る。これはとてもコストのかかることです。人が集まって議論するというのは、オンラインでも大変なことですが、ちゃんとした中学であれば、おそらく顔を合わせて相談・議論していらっしゃるのではないかと思います。ビジネスベースの大手塾などでは、まずそんなコストをかけられないでしょうが、そこが問題の質の差として現れます。

2.現場の国語科教員が作成される
本だけ読んで頭でっかちに問題を作成しているというわけではなく、実際に中学生指導の現場に立っている方々が問題を作成していらっしゃる。これもやはり大切なところです。入試を突破してきた中学生を指導していれば、「意外にこんなところが弱いんだな」「こうした部分をもっと身に付けてもらいたいな」ということが如実に分かるはずで、それは入試問題にも反映されるはずですね。これも模試には期待しにくい部分です。

3.再検討を繰り返しながら本番まで問題を練り上げていらっしゃる
これまた大変コストの掛かることだということがご理解いただけるかと存じます。商業ベースに乗せねばならない模試の場合は、どうしても作成に時間を掛けることができません。その分問題が粗雑なものになりがちですが、実際の入試問題はそういう部分が非常に少ない。やはり各校の入試問題は勉強のベースに置く問題として非常に優れています。

入試は初回の学校の授業」とは、よく言ったものだと思います。入試にその学校が求める生徒像がしっかりと表れているといってもいいでしょう。それはこの上もない勉強の指針になります。

大手塾模試の成績を見て心配なさる方がいらっしゃるんですが、問題レベルを考えれば、過度に心配されたり、一喜一憂されるのは避けたほうがいいですね。

怒られるのを承知で正直に言えば、国語の模試偏差値において40から60のレンジ内に収まる成績って、あまり差はありません。統計学的に見れば「平凡な成績」にあたりますので、落ち込む必要も鼻を高くする必要もないですね。

入試過去問については、またいずれ詳説したいと考えていますが、最後に一言だけ。

実際に受ける学校の入試問題をおろそかにすべからず

受験生の皆さん、正しい努力を重ねて頑張ってくださいね。