「無人島アルバム」を妄想する

まだまだ続く当塾の繁忙期。

新年度の授業をスタートさせるのはなかなか大変な仕事です。体験授業を行い、新規塾生さんの保護者様と面談をして、テキストを準備して、それからそれから……といった感じで大量の仕事が発生します。ただ、こちらはやる気に溢れた新しい塾生さんとの出会いがあるため、楽しい仕事でもあります。

しかし、しかし。例年やって来る確定申告。これだけは、何度やっても最凶の面倒くささです。煩雑極まりない作業を延々と続ける必要があるんですよね。休日返上で。しかも目的は、所得税を支払いに行くこと。これだけやってるんだから、逆に「よくがんばりました給付金」を貰いたいぐらいです(笑)。大人なので、文句を言いつつもちゃんと作業はしますけれど……。


作業をしながらあれこれと妄想に耽ります(とても単純な作業なのです)。よく考えているのは「無人島アルバム」。この議論、音楽好きには有名な話ですが、もしあなたが仮に無人島に流されるとして3枚だけアルバム(レコード/CD)を持ってゆくことが許されるなら何を持っていくか、という議論です。

「3枚」は1枚のこともあれば10枚のこともあります。ただ、1枚だと議論の広がりがあまりに乏しいですし、10枚だと逆に焦点を絞りきれない感があります。やっぱり3枚ぐらいが議論として面白いのではないでしょうか。

もちろん最高度に敬愛しているミュージシャン達の作ったアルバムをあれこれと想起するわけですが、バッハやショパンのようなクラシックはどの演奏者の作品を選ぶのか、フランク・ザッパ(超多作な人なのです)のアルバムは連作を一つの作品として考えていいのか、逆にパディ・マカルーンは超寡作だがどれも甲乙付け難いぞ、ライブが圧倒的に良くてアルバムがあんまりな邦楽や民謡はどうすればいいのか、等々無限にどうでもいい疑問(というか雑念)が湧いてきて、なかなか決まらない。

そこを何とか真剣に考えてみて出した結論。2022年2月の気持ちは下記の3枚。

何か書き出すと無限に書きたくなってしまうので、あえて一言二言のみ。自分の葬儀でどれが掛けられても一切文句はありません。

J.S.Bach: Goldberg Variations | Glenn Gould

天国へ駆け上がる音楽。バッハ&グールド、天才の共演。1982年の録音もいいけれど、やっぱり1955年録音が究極。

The Return of The Durutti Column | The Durutti Column

静謐な青い音楽に秘められたプロテスト。1stアルバムにして最高傑作。

The Pavilion of Dreams | Harold Budd

幽玄の国へのパスポート。天国の夜ってこういう音楽が流れているのではないかと思う。1曲目の “Bismillahi ´Rrahmani ´Rrahim” は何回聴いたか分からない。

今気づきましたが、ジャケットを並べてみると一貫性がありますね。ちなみにドゥルッティ・コラムのジャケットはラウル・デュフィの絵のコラージュ。

音楽好きの人には、自分の考える「無人島アルバム」を紹介するのが、もっとも効率的な自己紹介じゃないかと思います。ショパンやザッパやコルトレーン、スティーリー・ダン、ストーンズ関連のアルバムを選ばなかった理由も猛烈に書きたいんですが、これまた無限に文章が増殖してゆくので自粛。

さあ、妄想はこれぐらいにして確定申告作業に戻ります(笑)。