もう6月ですね。あっという間に月日が流れていく……。そう感じるのは老化現象の一つらしいので、あんまりそう感じたくないんですけどね(笑)。
最近見かけた書籍で『人生はたったの4000週間』とかいうのがあったなと思いつつ、正確な書名を調べてみると、正式名は『限りある時間の使い方』(オリバー・バークマン著)でした。『限りある時間の使い方』よりも『人生はたったの4000週間』の方が、インパクトのある書名だと思うんだけどな。
人生をざっくり80年と考えると、365日×80年÷7日≒4171週ということで、だいたい4000週間。一週間という日常生活に密着したサイクルを基準に計算するのは、なかなかの慧眼で、どの世代の人々にも訴えかけるものがあるんじゃないでしょうか。
まあ、中身はほとんど分かりますし(おそらく限りある生を充実させよということだと思う)、「メメントモリ」を日々思う私のような人間は読もうとまでは思いませんけれど、その発想には大いに頷くところがあります。
私の場合、父が59歳になったばかりで身罷りましたので、どうしてもその年齢を基準に考えたくなるんですよね。現在53歳ですから、余命6年と考えれば、残り300週強。父と同じ年齢で死ぬとは限りませんが、時間の貴さに思いを致さずにはいられません。
歌舞伎なんかだと「定めは僅か五十年」という文句がございまして(『白波五人男』)、もう死んでいないとダメなんですけどね(笑)。「危ねえその身の境涯も 最早四十に人間の 定めは僅か五十年 六十余州に隠れのねえ 賊徒の張本 日本駄右衛門」、「境涯」を「きょうげぇ」「定めは」を「さだみゃあ」って発音できる人とは美味しいミルクが飲めそうですね(お酒あかんねん)。
そんなわけで、つまらない本はもうあんまり読みたくない。面白い本だけを読みたい気持ちが年々強まっています。グルメな人が美味しい上等な料理だけを食べたいと願うようなものでしょうか。私にとって読書は食事みたいなもので、日々の生活の一部ですから、ついつい「何でも読む」式になりがちなんですけどね。
で、先週は、劉慈欣『三体』ワールドにこれでもかというほど浸っておりました。これほどはまった小説は久々です。布団の中、お風呂、食事中、仕事の合間などなど、ずっと読みふける。仕事が終わった後、24時間営業のマクドナルドに行くことが時々あるんですが、夜の11時頃に読み始めて気がついたら午前2時。もう帰らないと、みたいな日が2回ほどありました。
「正典」と呼ばれる『三体I』『三体II上』『三体II下』『三体III上』『三体III下』全5巻を読み終え、昨日プレクエル(前日譚)である『三体0』も読了。公式外伝たる『三体X』を今日から読む予定なんですが、もう今から終わってしまうのが寂しいぐらいです。劉先生、別の外伝を書いて欲しい!
あんまりハマっているんで、副代表からどんなストーリーなのかと聞かれるんですが、これ、話すのが難しいんですよね。またこの小説の話は別の記事にでも。
先週、『三体』を読む合間合間に読んだのが、宮島未奈『成瀬は天下を取りにいく』。滋賀県民は必読書でしょう、これ。最高すぎる。
今週は、石井光太『ルポ:誰が国語力を殺すのか』も読もうと思っておりまして、すでに購入済み。これは仕事と大きな関係がありますので、半分娯楽半分仕事という感じですね。石井光太氏のルポは他の作品も読んだことがありますが、とても丁寧な作品を作っていらっしゃる実力派作家だと思っています。
いずれも「面白い本だけを読みたい気持ち」にしっかり応えてくれる本でして、もっともっと時間が欲しいところですが、本業の仕事も頑張りたいと思います。エイエイオー!