ティナリウェン(Tinariwen)・トゥアレグ族

1月は中学入試、2月は大学入試と高校入試。忙しくて雑用をこなす時間がなかなか取れません。昨年の10月頃からTODOリストに載りっぱなしの雑用もあったりして(笑)、早く春が来ないかと願っております。受験生にも素晴らしい春が来ますように。


今年に入り、フランス軍がマリ紛争に軍事介入を始め、その流れでアルジェリアの人質テロ事件が起こったことは皆さんもよくご存知かと思います。後者の人質事件では、日本人の犠牲者も出たため、ニュース番組でも大きく取り上げられましたね。

テロリズムが憎むべき所行であることは言を俟ちません。私自身もテロリズムに賛同する者ではありません。しかし、今回の政変・事件の背後には、遊牧民トゥアレグ族の置かれた政治的状況や貧困といった問題が横たわっているのも事実でしょう。

トゥアレグ族(ケル・タマシェク / Kel Tamasheq)は、サハラ砂漠西部、つまり、マリ・アルジェリア・ニジェール・リビアあたりを活動域とする民族。かつては砂漠の支配者とまで呼ばれていたらしいんですが、今は政治的にも経済的にも難しい立場に置かれている民族でもあります。

私に北西アフリカの政治的状況を語る知識はありませんが、今日はトゥアレグ族をメンバーとする私の好きなバンド、Tinariwen (ティナリウェン) をご紹介しましょう。

ティナリウェンが人気を博し始めたのは、Led Zeppelin のロバート・プラントが「砂漠のブルース」として、彼らを西欧社会に紹介した7〜8年前のことだと思います。

百読は一聴に如かずと申しますので(?)、実際の音を聴いていただくのが良いでしょう。

Ouallahila Ar Tesninam

どうでしょう?「闘う音楽」だと思いませんか?

私は「闘う音楽」が大好きです。音楽がラウドなものであるか否かといった表面的な話ではありません。その姿勢や内的な部分で「闘い」のエネルギーを感じさせる音楽です。したがって、静謐な音楽であっても「闘う音楽」であることはままあります。具体的には、ジャズであればコルトレーンやドルフィ、ロックであればフランク・ザッパ、クラシックであればJ.S.バッハといった人々の音楽を思い浮かべてもらえば幸いです。

アフリカの音楽で「闘う音楽」を挙げるとするならば、ナイジェリアの故フェラ・クティが思い浮かぶんですが、今日のティナリウェンも「闘い」度の高さでは負けてはいません。

昔どこかで読んだ話ですが、サハラ砂漠の民は、砂漠の向こうに砂煙をあげて進んでくる一団を見ると、瞬時に死を覚悟し、心を戦闘モードに入れるとのこと。少ない資源を奪い合わざるをえないという風土がそうさせるんでしょうが、呑気な日本人からすると、なかなか理解しにくい心象です。彼らの音楽はこの心象の延長線上にある気がします。

このティナリウェンのリーダーのインタビューを読んだことがありますが、ミュージシャンになる前はテロリストだったらしい。どこかボブ・マーリィ(レゲエ最大のヒーロー)を思わせる不敵な風貌・目つきは、さもありなんと思わせるものがあります。

エレキ・ギターがグイグイと引っ張って行くこのビート感、先述したとおり、西欧人は「砂漠のブルース」と表現するようなんですが、私が一番最初に聴いたとき想起したのは、河内音頭と江州音頭です。河内音頭や江州音頭について書いてゆくとどこまでも長くなってしまうので深入りしませんが、河内音頭や江州音頭は田舎臭い民謡ではありません。極めて都市感覚の強い洗練された音楽、いわばアーバン・ビートポップだと私は思っています。

この『Oualahila Ar Tesninam』なる曲(トゥアレグ語なので私には歌詞が全く分かりません)、盆踊りの櫓で演奏されていても全く違和感がないような気がします。私、この曲を聴くと、どうしても、「あらよっと!」「あ、そ〜れ!」「あ、どした!」って合いの手を入れてしまうんですよね(笑)。

こちらもビート感の強い音頭っぽい曲です。

‪Tinariwen‪ “Chet Boghassa”‬