ミシェル・ゴンドリー(Michel Gondry)というフランス人映像作家・映画監督がいます。私、ミュージック・ビデオのDVDを買うことなんて滅多にないんですが、彼の手がけたミュージック・ビデオ集だけは例外。随分前に購入して、大切にしています。
DIRECTORS LABEL ミシェル・ゴンドリー BEST SELECTION [DVD]
少し前に映画『ロビン・フッド』を見に行った際、『グリーン・ホーネット』の予告編を上映していました。あれ、これって昔ブルース・リーが出演していた活劇だよな、リメイクされたんだな、と思いながら見ていると、何と監督はミシェル・ゴンドリー!
ミシェルは、これまでミュージック・ビデオ、つまり超短編を中心に活動してきた映像作家。長編映画もあるにはありましたが(私も未見)、それらは単館で上映されるアーティスティックな映画でした。今回、ハリウッド型の大規模映画に初参戦ということになります。しかも3D映画。是非見に行かねば。
『グリーン・ホーネット』を機会に、ミシェル・ゴンドリーについてお調べの方が増えてくることを見越して、ブログ記事にしておこうというのが、今回の趣旨です。
彼の映像はとにかく独創的。常人では思いつかないアイデアが、フランス人らしいウィットに富んだスタイルで具象化されます。奇抜でありつつ、どこか知的でどこか上品。
ミュージック・ビデオは、ややもすると、ミュージシャンの単なる動くグラビアになることが多い作品です。時間的制約(長くても4分程度)や、ミュージシャンのプロモーションという目的がある以上、やむを得ないところもありますが、ミシェルはその中で最大限の芸術性を爆発させます。といっても難解な芸術性ではありません。とても理解しやすいポップな芸術性です。
そのインパクトが、ミュージシャンのプロモーションに最適なのでしょう。Wikipediaをご覧頂くとお分かりいただけますが、ミシェルにミュージック・ビデオの制作を依頼しているのは錚々たる面々です。とりわけビョークの一連のミュージック・ビデオは、彼の名を高からしめた作品として有名。そうそう、リーバイス、GAP、コカ・コーラ、ナイキなどのCM映像なども制作しています。むべなるかな。
ここでは、いくつかの作品をご紹介しましょう。
Kylie Minogue – Come Into My World
ついついカイリー・ミノーグに注目してしまいがちですが(こんな可愛い人なら何人増えてもらっても結構)、背景もこれまた面白い。何度も「発見」できる作品です。
The White Stripes – Fell in Love with a Girl
私の好きなホワイト・ストライプス。兄妹二人(という設定)の轟音ロックです。ミシェル・ゴンドリーの作品は、アナログでありながらデジタルも感じさせる、デジタルでありながらアナログも感じさせる、という部分がありますが、この作品は顕著にそういう部分が表れています。ミシェルはレゴ・ブロックを二人の前に持ち出して、嬉しそうに「こんなのどう?」と企画を話したとか。
The Chemical Brothers – Star Guitar
ミシェル・ゴンドリーの真骨頂でしょう。鈍感な私は、意図を理解するまでに1分近くかかりました。「何が起きるんだろう?」いやいや、最初から「起こっている」。電車の大好きな息子にも大受けのミュージック・ビデオです。