「栗コーダーカルテット」というバンドをご存知でしょうか?知らない?いや、絶対にご存知だと思います。
栗コーダーカルテット in 豊岡工場 小組曲「ピタゴラスイッチ」
ね?ご存知だったでしょう?
「リコーダーを中心にした4人組の音楽隊」ということになるんですが、このユニット、以前から一度ライブを見てみたいと思っているんですよね。
先日、何となくラヴェル (Maurice Ravel) のピアノ曲を聴きたくなって、といってピアノで演奏されているのは聴きたくない、それ以外の楽器で演奏されているのを聴きたいというような気持ちになって(どんな気持ちやねん)、YouTubeをウロウロしていました。そこで発見したのが、「栗コーダーカルテット」による「 亡き王女のためのパヴァーヌ」。
亡き王女のためのパヴァーヌ/栗コーダーカルテット
栗コーダー、こんなのも演奏するんだと思って聴いてみたんですが、これがいい!ラヴェル独特の怜悧さが少し緩和されて、暖かみに替わっているのがいとあはれなり。全部演奏を聴いてみたい!
ここからは、ちょっと音楽好きな人に向けて書きます。
メンバーの関島岳郎さん(向かって一番右で演奏されている方です)がやっていた「コンポステラ」についてはライブを見たことがあります。私が大学生の頃でしたから、今から20年以上前の話。
大学の授業が終わってから、ライブハウス拾得(だったと思う)に向かったようなおぼろげな記憶。演奏された曲も知らない曲ばかりで、今となっては何も分からないんですが、とても良いライブだったことだけはしっかり記憶しています。聴衆は40人そこらでしたでしょうか。
穏やかでありながらキッチリと芯が通っている音楽。「この曲はロシアの小品です」とか「これは僕たちが作りました」とか最小限のMCだけで淡々と進む演奏は、とても品がいいのにどこか不敵なところもあって、すごく不思議なものでした。
今思えば、主要メンバーの篠田昌巳さんのサックスが、そうした空気をかもし出していたのかもしれません。ライブから少し経って、篠田昌巳さんが急逝されたというニュースを聞きました。
とても驚きましたが、聞くところによると、心臓が以前から悪く、医師から負担のかかるサックス演奏を止められていたらしい。それでも「サックスを吹かないなら生きているとは言えない、僕はサックスを吹いて死ぬ方を選ぶ」とおっしゃって演奏を続けていたとの由。
そうなのか、分かった、あの日の演奏は「命を削る演奏」だったんだ。だからもの静かな音楽なのに、心に迫るものがあったんだ。
その日のライブの記憶は、悲しみと納得を伴って、私の中に眠っています。
何となくそんなことを思い出しながら、色々と動画を漁って見つけたのが次のライブ録画。いつか見たコンポステラのライブと空気感がよく似ています。オランダのライブハウス?のようですが、まるで京都の小さなライブハウスのよう。素晴らしい演奏。是非一度ライブを体験したいと思います。
Kuricorder Quartet “Happy News!” / 栗コーダーカルテット「うれしい知らせ」