ようやく8月も終わり、9月の声が聞こえてきました。夏が去るのは寂しいんですが、仕事が一段落付いてほっと一息です。
昨日のニュースになりますが、お笑いタレントのスギちゃんが、テレビ番組の収録中に胸椎を骨折し、全治3か月の重傷を負ったとの由。
テレビ番組の収録の際、お笑い芸人・タレントがメチャな冒険をさせられて、あげく大怪我をするという今回のようなパターンをしょっちゅう耳にします。場合によっては、芸人引退のやむなきに至ったり、亡くなったりというケースもありました。
これって、「いじめ」の構造以外の何物でもないですよね。少しでも仕事が欲しい立場の弱い芸人に、強い立場の番組プロデューサーが意味のない危険な行為を強要する。まわりの共演者がそれをみてゲラゲラ笑う。視聴者もそれを見てヘラヘラ笑う。
今回のスギちゃんは、高さ10メートル(!)の飛び込み台から着水させられたとのことですが、常識的に考えて、素人にそんなことが安全に出来るとは思えません。正直、こういう「いじめ番組」を見て笑える人の気持ちが分かりません。
どうして強い立場のテレビ局は、笑いという「芸」を中心にして番組を作ってやれないのか。「いじめ奨励番組」を横行させておきながら、ニュース番組で「いじめ問題が深刻化しています」なんてしかつめらしい顔で言われても、見ている方が困惑してしまいます。自家撞着ここに極まれり。
もちろん、その類の番組が横行するのは、「視聴率」ひいては「番組スポンサーのご機嫌」というところに原因があるんでしょうが、より根本的には、視聴者が「いじめ番組」を喜んで受け入れているというところに大きな原因があるはず。
昨今問題になっているいじめによる自殺の問題も、同じ線上にある気がしてなりません。「いじめは社会的にも認められている」「いじめは楽しい」というメッセージしか読み取れない番組が、小中学生に与える影響は無視できないのではないか。
番組がエロティックだったり低俗だったりするのは全然構わないと思うんですが(それは個人の趣味の話だ)、この種の「いじめ奨励番組」は、話を聞くだけで気分が悪くなります。
私、ダウンタウン松本・ビートたけしといったタレントの才能を高く買っているつもりですが、こと彼らの番組が有する「弱者いじめ」の構造については、納得が出来ません。お笑い界の大御所たるものが、そんな安易な方法で笑いを取ろうとしてくれるな、芸そのものの力で笑いを呼び起こしてくれ。
そんな「芸至上主義」の私にとって、ずいぶん前からテレビは見るべきものでなくなりましたが、子を持つ親としては、せめて「いじめ奨励」だけはやめて欲しいと切に願います。
と書いた後で、ネット上の情報を見ていると、こんなtweetを残している人がいました。小田嶋隆氏のことはよく存じ上げませんが、我が意を得たりという気分です。
テレビの中でいじめが蔓延している、という小田嶋隆さん(@tako_ashi)の見解 – Togetter