漢検1級は役に立つか

このブログへのアクセス状況を見てみると、ここ最近「漢検1級」で検索してこられる方が増えているようです。漢検に関する記事も書かないといけないなとは思っているんですが、なかなか時間が取れません。ブログネタ・漢検ネタはほとんど無限にあるんですが、問題は「時間」なんですよね。


さてさて、漢検1級を取って良い事って、何でしょうか。当然ですが、国家資格ではありませんし、漢検1級を取ったから就職に大いに役立つなんてことはありません。進学については、考慮・加点してくれるところもありますが、上位国公立大学についてはそういう優遇措置はありません。

私が思うに、結局は「自己研鑽」「自己満足」なのでしょう。何だつまらない、と思う方は多いかもしれませんが、「勉強は進学・就職・昇進につながらない限り無意味だ」なんていうのは、かなり味気ない考えじゃないでしょうか。自分を高めてゆく、そのこと自体に楽しさを感じられないなら、人生はかなりつまらないものになるんじゃないか。私はそう思います。

そもそも、日本語の成り立ちを考えたとき、漢字はその大きな骨組みをなす柱ですから、漢字の研究・研鑽を積むことは、日本語能力ひいては言語能力を高めることにつながるはずです。少なくともマイナスにはならない。

で、私の場合なんですが、難関中学や難関大学を目指す受験生を指導するという仕事の特性上、漢検1級の知識がかなり役立っています。もちろん、難しい漢字が入試そのものに出てくるわけではないんですが、難関と呼ばれる学校を目指す生徒は知的好奇心が旺盛なことが多いんです。例えば小学生の授業ではこんな感じ。

私「この問題に出てきた『青天のへきれき』っていうのは、文字通りにとらえれば、『晴れた日に突然鳴り渡るかみなり』のことです。晴れ渡った空にかみなりが鳴り響くなんてめったにないことだよね。そんなわけで『思いがけない出来事』という意味で使います。『寝耳に水』と同じような言葉だね。」

生徒「先生、『へきれき』ってどんな漢字ですか?」

私「それはこう書くよ。『霹靂』。どっちも雷を表す漢字。かみなりだから雨冠になるよ。」

生徒「ふむふむ(納得)。」

「霹靂」が試験に出るわけではありませんが、疑問にサッと答えられる方が授業の説得力はあるかなと思うわけです。そんなわけで、私にとっては「漢検1級」も大いに役立つ「資格」であります。


逆に、小学生低学年に教えていると、とんでもないことで尊敬されることがあります。小学3年生に学年対応の漢字のプリントを渡して教えていると……

「先生って、このプリントの漢字、全部読めるん?」

「うん、読めるよ。」

「うそ~!すご~い!天才すぎる!」

いや、小3の漢字ぐらい大人だったら誰でも読めますから(笑)。

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