当塾近辺は、お寺が大変多いところです。豊臣秀吉は、大坂城の南側に寺院を集めるという町造りを行ったんですが、その名残であります。
そんなわけで、散歩を兼ねて、息子と近所のお寺の境内をウロウロすることがあります。某寺は、何時行っても、色々な花が植えられていて、参詣者の目を楽しませてくれるんですが、ここ数週間は菜の花の黄色が目にまぶしく、春めいた気持ちになります。
菜の花って、まだまだ寒い時期から咲くもんなんだな、と思いながらよく観察してみると、何匹ものミツバチが忙しそうに蜜を集めています。そうか、ミツバチは今が書き入れ時なんだな。息子とじっくり観察します。一生懸命働いている動物や昆虫を見るのは楽しいんですよね。
息子「ミツバチって、刺さへん?」
私「大丈夫。ミツバチも仕事で忙しいねんから、じゃまさえしなかったら、刺してこないよ。」
と、そこを通りかかかった住職さん、私たちを見つけて話しかけて下さいます。
「ミツバチが来てると思うけど、イタズラしなかったら刺さないから大丈夫ですよ。ごゆっくり。」
檀家まわりにお出かけになる住職さんを見送って、さらにミツバチ観察です。
しかし、ミツバチというのは偉いですね。誰に教わったわけでもないのに、菜の花のありかを見つけて、一心に蜜集めという仕事に没頭しているわけですから……。
今、司馬遼太郎のエッセイ集を集中的に読んでいるんですが、司馬氏も菜の花が大好きだったことを思い出します。彼の命日は「菜の花忌」と命名されていますし、廻船商人高田屋嘉兵衛を描いた『菜の花の沖』という作品もあります(名作だ)。記憶が正しければ、葬儀の祭壇にも菜の花が飾られていたはず。
そろそろ春がやってきそうです。