お盆と言えば「盆踊り」なのに

お盆休みも終盤。のんびりと休暇を楽しんでいます……などということはなく、自宅の書斎兼居間の改装作業に朝から晩までいそしんでおります。

仕事や勉強に没頭できるスペース、その一方でゆったりくつろぐこともできるスペース。どう考えても矛盾しているんですが、その両方を満たすべく、あれこれと勉強したり、導入する書架や机を見に行ったり、品物を整理したり。あんまり朝から晩まで活動しているんで、副代表にちょっとは休めと怒られました。

例年、長期のお休みはのんびりしようと思っているんですが、絶対と言っていいほど何か仕事か用事をしてしまうんですよね。我ながら貧乏性だと思います。ビーチでのんびり一週間、遠い遠い夢です(笑)。


さて、お盆といえば私などは「盆踊り」をすぐに想起するんですが、最近の調査によるとお盆から「盆踊り」を想起する若者は1割程度らしい。ショック!

いつでも音楽を聴いて体を揺らしている私のような人間は別として、(音楽マニアやダンスマニアでない)普通の人はお盆に踊らなかったらいつ踊るんですか!踊る阿呆に見る阿呆、同じアホなら踊らにゃ損損、人生は踊ってなんぼじゃないんですか?いや、言いすぎですか。

ただ、「盆踊り」の存在感が近年どんどん薄れてきているのは私も痛感しています。関西ですと、盆踊りの音楽は主として「河内音頭」や「江州音頭」。聴いたことのある人にはお分かり頂けるかと思うんですが、かなりビート感の強いダンスミュージックなんです。

「日本の民謡なんて」という偏見を持つ人は、冷静にこれらの音楽を聴いて欲しいと思うんですよね。「河内音頭」や「江州音頭」のリズム感はファンクのような濃密性より、レゲエや西アフリカ音楽のような少し抜けた感覚を持つものなので、この辺りの音楽が好きな人なら、まず間違いなく楽しめると思います。

かつてのバブル期なんかは、あらゆる商店街や町内会で、正真正銘の音頭取りが来る盆踊り大会が開催されていました。したがって、私にとってお盆は毎日がフリーコンサート状態。妻(当時は彼女でしたが)の実家が河内ということもあって、そこらじゅうの盆踊り大会を聴きに行っていたんですよね(私の場合、踊るよりも音楽を聴きたくて行くので「踊りに行く」ではなく「聴きに行く」)。

しかしバブル崩壊後、少なくとも大阪市内では、プロの音頭取りが来る盆踊り大会がどんどん減ってきました。おそらくギャラの関係で音頭取りを呼ぶのが難しくなってきたんでしょう。喜んで盆踊り大会に出かけたら、音頭取りがおらずレコードで河内音頭が流れていた時のあのガッカリ感。ケチケチすんなよな〜と言いたくなります。タダで見ていて厚かましいこと極まりないんですが(笑)。

近隣の区などでは、レコードに合わせてそこらへんの素人のおっちゃんが音頭を唄っているなんてケースもありました。自転車で走っていると、遠くから流れてくる河内音頭!どうもレコードじゃなくて肉声で歌っているようだ!あわてて音のする方に駆けつけると、素人がとんでもなく下手な河内音頭を唄っています。ちゃうねん!河内音頭はこんなんちゃうねん!替わるからマイク貸して!

さすがに最後のは嘘ですが、河内音頭や江州音頭はどんどんプレゼンスを失っていっている気がします。コロナの時代に至っては、盆踊りの開催自体が見送られることも多く、もう「ボン・ダンス」は消滅への道を歩んでいるのかも。

私が音頭について色々学んだのは、村井市郎先生の著作によるところ大なんですが、村井先生は府立天王寺高校の数学教員でいらっしゃったんですよね。教員として勤務される傍ら、音頭の研究に邁進されていたと記憶しますが、今調べてみると、もう著作が入手し難い価格になっています。

下記の本『河内の音頭いまむかし』は、私も持っていますが、出版元が「八尾市役所市長公室広報課」。確か八尾市役所に連絡して入手したような覚えがあります。中古書籍価格が3万円オーバーとは……。

あと、驚いたんですが、村井先生のNHK番組がYouTubeに上がっています。村井先生のお声を知りませんでしたが、こんなに歌がお上手だったんだ……。今ごろになって感動です。全編聴きましたが、勉強になりました。七・五音節を中心とする定型詩的歌詞から、段々とフリースタイル的・自由詩的な歌詞へと変遷していった話なんかは、とても国語的な話だと思います(と無理やり塾ブログに繋ぐ)。

河内音頭(解説:村井市郎) 昭和61.8.10放送

あと、下記リンク先のお話も、村井先生の活躍を伝えてとても面白かったです。ずいぶん昔、河内家菊水丸の独演会に行った時、皇太子の前で演奏した際に、金髪のバンドメンバーが黒髪に染め直させられた話をしていたと記憶するんですが、その頃の話でしょうか。

http://www5c.biglobe.ne.jp/~izanami/oldcoramu/kawachiondo.html

いくつかお気に入りの音頭取りの映像を。
このレベルの音頭取りの歌を生で聴きたいんですが……。

河内音頭 鉄砲光三郎

河内音頭 初代京山幸枝若/ギター河内家菊水丸(18歳)