今年はどういうわけか、自ら命を絶つ若い人が多いような気がします。私のようないい年のおっさんからすると、いかにも勿体なく、切ないことに思えます。
人間なんてどうせいつか死ぬんだから、とりあえず生きておいたらいいのに……。自死を選ぶ人は、そんな愚鈍な考えには与しない人でしょうから、何を言っても仕方がないのかもしれませんけれど、やっぱり勿体ないですよね。一個人の感覚としても、社会全体の利益からしても。
心理学的なテストを何度受けても、「鋼のメンタルをしています」と評され(貶され)、親しい人々や家族から「みんながそんな厚かましいメンタルを持ってるわけじゃない!」と言われる(怒られる)私のような人間からすると、もうちょっと皆図太くてもいいんじゃないかとしみじみ思います。
仮にSNSなんかで自分のことが悪し様に取り沙汰された場合、それを真剣に受け止めてしまう人と、「やっぱり世の中って変わったヤツが多いなあ〜、まともなの俺だけやん、あははは」と笑える人では、大きく違ってくると思うんですよね。
どうやったら後者のようなメンタルになるかは、色々なアドバイスが出来ると思うんですが、こんなアドバイスはいかがでしょうか。
かなり昔から使われているネットミームに「そんなことより野球しようぜ!」というのがあります。
ネット掲示板などにおいて、些細なことで議論が過熱・炎上することがありますよね。そんなとき、誰かが唐突に書き込む。
「そんなことより野球しようぜ!」
私はこの言葉・感覚が大好きです。
「そんなことより野球しようぜ!」というセリフは、ちばあきおの名作野球漫画『キャプテン』から取られているんですが、この漫画、とにかく泥臭く地味な漫画なんです。地味な中学生が地味な努力を積み重ねて地味に力をつけて行くのが、地味な絵で描かれます。ストーリー進行もとても地味。地味のインフレです(笑)。天才的なプレーヤーや華々しい選手は一人も出てこなかったのではなかったか。令和の時代に出版されていたら、誰も見向きもしていなかったかもしれません。
私も自分で購入した漫画ではありません。確か、大学生時代に部室に置いてあったのを全巻読んだような覚えがあるだけです。読んでいた当時も、全然野球に興味がないこともあって、(失礼ながら)退屈な漫画だなと思っていました。
しかし、しかし。妙に心に残る漫画なんですよね。これは作品としてもっとも優れた部類に入ることの証拠じゃないでしょうか。
あらすじはWikiPediaから引用しておきましょう。
中学2年時に野球の名門・青葉学院中学校から墨谷第二中学校(墨谷二中)に転校してきた主人公・谷口タカオは、野球部へ入部するためにグラウンドを訪れ、練習に参加しようと青葉時代のユニフォームに着替えた。そのユニフォームに気付いた野球部員は、勝手に谷口を名門青葉のレギュラー選手だったと思いこんでしまう。しかし実際は、谷口は2軍の補欠でレギュラーにはほど遠い選手だった。そのことを気が弱くて言い出せない谷口は一度は諦めかけるが、大工を営む父の叱咤激励を受けて周囲の期待に応えるべく陰ですさまじい努力を続ける。やがてそれらを見抜いていた先代キャプテンに見込まれてキャプテンに選ばれるまでになり、試行錯誤しながらチームを引っ張っていく。
ウィキペディア(Wikipedia)「キャプテン (漫画)」より引用
些細なことから野球部内に対立が生まれる。意地の張り合いが起きて、部員間にギスギスした雰囲気が漂う。
そんな時に、谷口君が件のセリフ、「そんなことより野球しようぜ!」を言う。いや、コミック内で本当にそう言っているのかは知りませんが、いかにも彼が言いそうな言葉なんです。
つまらないことに拘るのはやめようよ。本当にやりたいこと(野球)にフォーカスしようよ。野球が大好きで集まったんだろ。もっと大きな視野を持とうよ。みんなでやる野球は楽しいぞ!
大人だったらそんなくどい言い方をしてしまいそうですが、そこは中学生。シンプルに「そんなことより野球しようぜ!」、です。
人から貶されて悩んでいる人や、どうにもならないと絶望的な気持ちになっている人は、この精神をこそ持って欲しいんですよね。「そんなことより野球しようぜ!」精神を。
しょーもないこと、細かいことを言ってくる人は絶対にどこにでもいると思います。そういう人達はニコニコしながらナチュラルに無視して、「そんなことより野球しようぜ!」と自分に呼びかける。あ、本当に怒りを感じたら、思いっきりキレてからでもヨロシイですね(笑)。
もちろん、「野球」はそれ以外でも全然構いません。
「そんなことより映画見ようぜ!」
「そんなことよりグルメしようぜ!」
「そんなことよりゲームしようぜ!」
何でも好きなのを入れてください。
私の場合は、「そんなことよりバイク乗ろうぜ!」とか「そんなことより音楽聴こうぜ!」ですね。
要するに、あんまり考え込みすぎず、抱え込みずぎず、視点を適当にずらして、本当に心からやりたいことに向かう。そうすれば大体のことは大丈夫。大げさに言えば、そうしたマインドセットをいつでもナチュラルに持てるようにすることが大事。
子供たちは遅かれ早かれ「社会の厳しさ」の洗礼を受けます。受験であったり、就職であったり。そのときに自然にそうした心を持てるようにしてやる。人生を客観視できるようにしてやる。それは親を初めとする周りの大人の役目だと思っています。