3月は3月であれこれと忙しい月でした。4月からも頑張っていこうと思います。エイエイオー!
今日こそ、中学入試国語の勉強に最適な教材の話を書こうと思っていたんですが、時間がないので豆知識をば。
昨日、センター試験対策(古文)の授業をしていて、「ちかまさり(近優)」という言葉が出てきました。「ちかまさり」とは「近づいて見ると、遠くで見るより、すぐれて見えること」を言います。
例えば、遠くから見ているとそれほど美人には見えないのに、間近でよく見ると、「あれっ、この人、結構美人だなあ」と感じるようなことを言うわけです。
この「ちかまさり」という言葉、何となく好きなんですよね。近くに来るとその良さが分かるというのは、本当に良い物や人である証拠のように思えるからでしょうか。
ま、遠くから見ても近くから見ても、紛う方なきイケメンの俺には無縁な言葉だけどな、フフフ……。え?なんかここの塾長、「ちかおとり」するって?うるさいわ!(笑)
ちなみに「ちかおとり(近劣)」という言葉も本当に存在しています。「ちかまさり」の対義語で、「近づいて見ると、遠くで見るより、悪く見えること」を言います。
日本国語大辞典精選版にはこんな例文が。
「めでたくおぼしめしける女の、ちかをとりしければ、よませ給へる」(奈良御門御集)
「素晴らしくお思いになった女性が、近づいて見ると、今一に見えたので、お詠みになった(歌)」
というような意味ですが、すごく失礼な話ですよね、これ。多分詞書の部分だと思いますが、どんな歌が続いているんでしょうか。わざわざそんなテーマで詠むなよと思う反面、すごく和歌の部分が読んでみたい(笑)。
思うんですが、こうした状況(近づいて見ると遠くで見るよりすぐれて見えるorその逆)を一言で言い表せる言葉って、現代の日本語にはありませんよね。とても便利な言葉なんだけどなあ。
巷間「インスタ映え」という言葉をよく聞きますが、こんな言葉もあれば使い勝手がいいんじゃないでしょうか。
「インスタ優り」
インスタグラムで見るよりも、実際に見たほうが優れて見える。
例文「○○さんって、インスタ優りしてるよね、こんど食事でもどうかな?」
「インスタ劣り」
インスタグラムで見るよりも、実際に見たほうが劣って見える。
例文「ねえ、ここのレストラン、なんかインスタ劣りしてない?」
「インスタ(が)優っている」のか「インスタ(に)優っている」のかで解釈が別れて、誤用や意味転換のいかにも起きそうな言葉ですけどね……。「情けは人のためならず」とか「役不足」みたいに。いや、ありもしない言葉にそんな心配は無用ですか。
なお、当塾は「ちかまさり」する塾でございますので、宜しくお願い申し上げますね。