「青年実業家」という言葉

青年実業家」という言葉がありますよね。

「女性芸能人が結婚しました、お相手は青年実業家、年商はなんと○○億円!」というような感じで使われることが多いと思うんですが、この言葉、よく考えてみると意味がかなり曖昧です。

青年」とは何歳から何歳ぐらいまでを指すのか。「実業」とはどんな事業なのか。こういう場合は、同一ジャンルの語や対義語などを考えてみるといいですね。

新明解国語辞典によると、「青年」とは「二十歳ごろから三十歳代前半までの人」とあります。「少年」が小中高校生、「壮年」が三十代中期から四十代の後半、とも示されているので、「青年」は、「少年」より上で「壮年」より下の世代ということができそうです。

次に「実業」です。広辞苑によると、「農業・工業・商業・水産などのような生産・経済に関する事業」とあるんですが、要するに、「経済的な活動全般」を指す言葉なのでしょう。

したがって、文字通りに考えれば、「青年実業家」というのは、「二十歳ごろから三十歳代前半までの経済活動をしている人」ということになります。

でも、これって、20~30代の社会人全員ですよね(笑)。サラリーマンも当然、労働をして対価を得ているわけですし、経済的な事業・企業に参画しているわけですから。

ま、屁理屈はこれぐらいにして、実際のところ、「青年実業家」とは、単に「若くて金持ちな社長さん」というぐらいの意味なんでしょう。「女性芸能人が結婚しました、首尾良く捕まえた相手は若くてリッチな社長!」という表現では、さすがに露骨・下品すぎる。で、オブラートにくるんだ表現として「青年実業家」という語が用いられるということなんでしょう。

不思議なことに、「青年実業家」とよく一緒に用いられる言葉は「年商」です。どうして「年収」ではないのか。大きな年商を聞くと何かすごい事のように思えますが、年商≠年収ですから、必ずしもすごいとは限りません。極端な話、年商100億円だが年収0円、ということもあり得ますよね(この場合、馬車馬のように働いて実入りゼロということですから、家で寝ていた方がマシだとも言える)。

その辺りも、「青年実業家」という言葉にうさん臭さを感じてしまう一因になっているんでしょう。


さて、塾を運営している私、一体何になるんでしょうか。40代にさしかかっているので、さすがに「青年」はおこがましい。塾の運営が「実業」というのも、どうもイメージが異なる。

う~ん、中年塾業家

絶対にモテなさそうですね(笑)。