朝三暮四と朝令暮改

国会という論戦の場で、揚げ足取りばかりしていても国民はしらけるばかりですが、国語に関する話題としてエントリー。

22日の衆院予算委員会で鳩山由紀夫首相が「朝三暮四という言葉をご存じですか」と尋ねられ、「朝三つ夜四つという話で、朝決めたことと夜決めたことですぐ変わる、すぐにものが変わっていくことだと理解している」と間違って説明する場面があった。
(asahi.com 2010年1月23日9時52分の記事より引用)

確かに、「朝三暮四」と「朝令暮改」って、よく似た四字熟語ですね。説明してみましょう。

朝三暮四
目の前の違いに心を奪われ、結果が同じになることに気がつかない愚かな様子。

飼い主が、サルに毎日木の実をやっている。経済的に苦しくなってきたので、与える木の実を減らすことになり、サルたちに説明する。「今日から与える木の実を、朝に三つ、夕方に四つにする。」サルたちはブーブー文句をたれる。「じゃあ、朝に四つ、夕方に三つやろう。」日に七つになってしまったことには変わりないんですが、サルたちは大喜び。こんなエピソードからできた四字熟語です。

朝令暮改
法律や命令が次々に変わり一定しないこと。

「朝(あした)に令(れい)し、暮(くれ)に改(あらた)む」と訓読すれば分かりやすいかと思います。要するに、「朝命令を出したかと思うと、暮れにはもうその内容を改める」ということです。

折角ここまでお読み頂いたのですから、もう一つよく似た四字熟語をご紹介しておきましょう。

張三李四
どこにでも居るごくごく普通の人物。

張家の三男と李家の四男、というところから来ている四字熟語ですが、日本の場合、張さんも李さんも多数派とは言えないですし、3人以上の兄弟も昨今は珍しいですから、「鈴一田二」(鈴木家の長男と田中家の次男)ぐらいに変えた方がいいのかもしれません(笑)。