完全少人数制宮田塾の方で、小学低学年の漢字を採点していた時の話です。生徒のこんな解答を見つけました。
「本家」の読みがな→「ほんや」
もちろん「ほんや」は間違いでして、「ほんけ」が正解です。ただ、私から見ても何となく納得したくなる間違いです。
そもそも、「家」という漢字には多くの読みがありますよね。
音読み : カ・ケ
訓読み : いえ・や
熟語によって、「カ」と読んだり「ケ」と読んだり「や」と読んだり。もちろん、「いえ」と読むこともあります。場合によっては「うち」や「コ」と読むことも。
そして、どの読み方をするかについての明確なルールはありません。どう読むかは、ほとんど慣用として決まっている。強いてルールを言えば、
「基本的には『カ』と読むことが多い」
「熟語の語頭に来ればほとんどの場合は『カ』と読む」
といったところでしょうか。
こういうのって、漢字を学ぶ幼い子供たちや日本語を学ぶ外国人にとって鬼門になると思うんですよね。同じ文字なのになぜ読みがバラバラなのか。一つの文字に4つも5つも読みを付けるなよ。覚えられるはずがないだろう!そう思う人が多くいても不思議はありません。
かといって、今更どうしようもありません。「公家(くげ)」を「くか」って読むわけにはいかないですしね。「一つの文字にこんなにたくさん読みがあるぞ!わ〜い!」なんて思うのは漢字好きな変人だけです(はい、私です)。
さて、「家」が後置される熟語で、「カ」以外の読みの熟語をいくつか挙げておきましょう。
「家」を「ケ」と読む場合
王家(オウケ)
公家(クゲ:朝廷に仕える身分の高い者)
高家(コウケ:由緒正しい家)
後家(ゴケ:夫に死別した女性)
在家(ザイケ)
出家(シュッケ)
他家(タケ)
当家(トウケ)
分家(ブンケ:本家から分かれた家)
別家(ベッケ:本家から分かれた家)
本家(ホンケ)
両家(リョウケ)
良家(リョウケ)
姓+家の場合も「ケ」になりますね。例えば「宮田家」なら「みやたケ」と読む。
「家」を「や」と読む場合
母家(おもや:「母屋」の表記もOK)
貸家(かしや)
借家(シャクや)
我が家(わがや)
落語家さんなんかも「や」ですよね。林家(はやしや)、柳家(やなぎや)。明石家(あかしや)さんまもそのうちの一人でしょう。
「大家」は何と読む?
そうそう、こんなややこしい熟語もあります。
大家(おおや:貸家の持ち主)
大家(タイカ:大きな家屋/名高い専門家)
大家(タイケ:格式の高い家)
大家(タイコ:しゅうとめ)
このあたりがすらすら読める人はかなりの漢字実力者だと思います。
ちなみに、小学生に「商家」の読みを聞いてみると、「しょうか」「しょうや」「しょうけ」色々な答えが返ってきます。何か私も惑わされてくるんですが(笑)、この語の読みは原則通り「カ」で読みます。「しょうか」が正解。
さあ今日はこれぐらいで「お家(おうち)」へ帰ろう。でん・でん・でんぐりがえってバイ・バイ・バイ!
【まんが日本昔ばなし】エンディング曲 ~『にんげんっていいな』