私がストーリーテリング能力を高く買っている作家の一人に、万城目学がいます。彼の作品はいずれも、読み出すと面白くてなかなか止まりません。今までに、『鹿男あをによし』『鴨川ホルモー』『ホルモー六景』『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』を読んでいますが、どれもお薦めできるエンターテイメント作品です。
『鴨川ホルモー』『ホルモー六景』については、以前も取り上げました。
鴨川ホルモー・ホルモー六景 by 万城目学:国語塾・宮田塾のブログ
別に大学・学部の後輩だからひいきしている訳ではありませんが(面識はありません)、舞台として取り上げられる場所が、私の身近な所ばかりというのは、やはり個人的なツボにはまります。
『鹿男あをによし』は私もよく出かける奈良が舞台。
『鴨川ホルモー』『ホルモー六景』は京大近辺が舞台。
ちなみに、『鴨川ホルモー』は映画も見に行きましたが、出てくる場所が全編馴染み深い場所で、とても楽しかったんですよね。「うわ、これ吉田神社の境内だな、こんな格好していいんかいな?」「あれ、これ吉田寮の裏手だな」という感じ。最近は京大もこういう撮影に結構協力的なんですよね。時代は変わりました。
そして今ベストセラーになっている『プリンセス・トヨトミ』は、大阪空堀商店街や大阪城や大阪府庁が舞台。私が日々過ごしている町が舞台です。万城目学も以前、空堀あたりに住んでいたそうで、余計に親近感がわきます。
実は、この『プリンセス・トヨトミ』、発売後速攻で単行本を購入して読んだので、読んだのはもう2年以上前ということになります。これから読まれる方もいらっしゃるでしょうから、内容には触れませんが、とても面白いエンターテイメント作品です。特に私のような大阪人の場合、心の琴線に触れまくる作品です。
国家公務員1種試験に首席合格しながら、「検査がしたいから」という理由で(笑)、会計検査院の役人になった松平元、ハーヴァード大学卒・国家公務員1種試験に首席合格という経歴を持つ、日仏ハーフの美人、旭ゲーンズブールとか、大阪市立空堀中学校の面々とか、とにかくキャラが立ちまくっています(ちなみに、空堀中学校は架空の中学です。おそらく上町中学校あたりがモデル)。
プリンセス・トヨトミ (文春文庫)
万城目学
上記で紹介した彼の作品は、『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』を除き、いずれもテレビドラマ化・映画化されているんですが、そのエンターテイメント性を高く評価されてのことであろうと思います。
つい先日、『プリンセス・トヨトミ』が封切りされたので、近々息子と見に行く約束をしているんですが、それにまつわる話も記しておきましょう。
去年秋頃でしたか、幼稚園児だった息子と天満橋のジュンク堂に行った帰り道、自転車をキコキコと漕いでいると、お兄さんが、私たちを止めます。日曜夜の8時頃、人通りのほとんどない大阪府庁前です。
(小さな声で)「すみません、今府庁の前を通行することができません。少しお静かに待っていただけますか?」
「何で?急いでるねんけど。」
「映画の撮影をしておりまして……。」
「ひょっとして万城目学の『プリンセス・トヨトミ』?」
「そうです!」
「分かりました、それなら待ちましょう!」
以前、別の場所ですが、何かの撮影をしている現場にさしかかって、ものすごくぞんざいな態度で待機を命じられたことがあるんですよね。いったい何様やねん。もちろん、平然と撮影現場を突っ切りました。ま、問題ありません(笑)。
今回は、ものすごく丁寧にお願いされたのと、万城目学の作品なので、喜んで待機(現金なヤツ)。撮影現場もよく見えます。会計検査院役人の松平が府庁の入口で役人達とやりあっているシーンのようです。あ、堤真一が松平役なんだな。ぴったりのイメージだなぁ。
そんな経緯もあって、息子と映画『プリンセス・トヨトミ』を見に行く約束をしている次第です。
撮影現場を見たとき、すぐにブログに書こうかと思ったんですが、何かの加減で情報が広まって、撮影現場に野次馬が集まっても迷惑だろうということで、見送っていたんですよね。やっと書けた(笑)。
『プリンセス・トヨトミ』を含め、上記いずれの作品も文庫本化されています。面白いストーリーをお探しの方、いかがでしょうか。
<追記>
先日、書店で新刊『偉大なる、しゅららぼん』を見つけました。今度の舞台は滋賀県。私の祖父以前の代々の地は滋賀県ですので、またまた親近感を覚えます。近々読んでみます。