近畿地方の梅雨入り&梅雨にまつわる雑学

今年(2011年)の梅雨入りは早いですね。気象庁の発表によると、5月26日の入梅は平年より12日早いそうです。まだ入ったばかりですが、とっとと梅雨明けして欲しいですね。

今日は梅雨に関する雑学をご紹介しましょう。


梅雨は極東アジアに広く見られる気候ですが、北海道にはありません。これは小学5年生の社会で習う知識。

梅の実が熟する頃の雨という意味で「梅雨」と書かれるんですが、黴(かび)の生える頃でもあるので、古い小説なんかでは、「黴雨」と書かれることもあります。読みはやはり「ばいう」です。

上記から分かるように、「黴(かび)」の音読みは「バイ」。「黴菌(ばいきん)」という言葉の方が覚えやすいかもしれません。


「梅雨(つゆ)」という言葉は、いつから使われだしたんでしょうか。

手元にある小学館の古語大辞典には、「梅雨(つゆ)」という見出しがありません。もちろん重要古語の「露」はありますが、この「露」には長雨という意味はありません。

一方、岩波の古語辞典の方には、「梅雨(つゆ)」という見出しがあるんですが、出典として挙げられているのが、『文明本節用集』。これは室町以降の書物ですから、室町頃には使われだしていたんでしょうね。逆に、平安時代には、「梅雨(つゆ)」という語をまだ使っていなかったのでしょう。

もちろん、平安時代にも長雨の続く時期はあったわけですから、その雨期を表す言葉はあります。何だと思いますか?

正解は「五月雨(さみだれ)」。現代の梅雨時期は旧暦の五月ごろにあたります。「五月雨(さみだれ)」の語源は、「五月(さつき)」の「さ」+「水垂(みだ)れ」であるという説がありますが、なかなか説得的です。


では、「五月雨式」という表現をご存知でしょうか。「ごがつうしき」という四字熟語ではありませんよ、「さみだれ・しき」です。この語は、「途切れがちに繰り返したり、だらだら続いたりする様子」を表しますが、歯科医の診療や、訴訟の進行を表すときによく使われますね(笑)。


実は、「五月雨る(さみだる)」という動詞まであるんですが、この語は、「さ乱る(さみだる)」と掛け合わせて使われることがよくあります。例えば、「さみたれて物思ふ」ですと、「五月雨の季節に心乱れて物思いにふける」というイメージを表すことになります。

掛詞を操る女子中高生ってあまりいないと思いますが、「五月雨」と「五月雨る」を行き来する言語感覚は、現代の女子中高生の感覚に通じるものがあるような気も。


細かい話はもういいって?ごもっとも。早く梅雨が明けて欲しいですね。